#3. 助けてやった、隣にいたかった。





 俺達はいつから一緒にいたっけ。

 出会ったのは、物心ついた時。一緒にいるようになったのは、お互い家族に嫌気が差した時だ。

 あぁ、そんで無法地帯になってる山を俺達が束ねてから、余計に一緒だった。その時はまだ、人間の姿を持てていなかった。人間なんて、弱い存在はどうでもよかったから。


***


 その山には爺さんと婆さんが住んでいた。俺達がこの山へ来るずっと前から、先祖代々、住み続けていたんだろう。爺さんは妖が見えていなかったけど、婆さんは違った。人には見えないようにし、干した柿を盗もうと傑と計画していたのに、婆さんは当たり前のように俺達を追い払った。見える人間が珍しくて、俺達は婆さんに悪戯しては追い払われを繰り返して、あの婆さんから何かを盗めたら勝ち、なんて遊びをしていた。
 そんなある日のことだった。婆さんの家に人間の子供がやって来た。こんな深い山に客がやって来るのは珍しいと、俺達はその子供に興味を持った。俺達も人間になるとあれくらいの年齢かと傑に問うと、傑は「どうだろうね。でもあの子に私達ほどの知性はないよ」と答えた。時々、人間を小馬鹿にする親友は嫌いじゃない。俺も同じ気持ちだから。
 人間嫌いとはいえ、俺達はその子供が気になって、姿を隠しつつ見ていた。でも、それだけじゃつまらない。あの婆さん以外は見えちゃいないんだから、何かを盗んで困らせてやろう。そう思って、よく分からないぬいぐるみを盗もうと、先に俺が動いた。一人になった子供の側にあったぬいぐるみを咥えた瞬間だった。

「わんわん!」

 言葉の意味は分からなかったが、しっかりとぬいぐるみではなく、俺を見つめてそう言い放つ。触れようと手を伸ばした為、俺はそれを避けるように跳ぶと、彼女は嬉しそうに手を叩いて笑った。

「悟、戻った方がいい」

 俺はぬいぐるみを置いて森へ戻った。彼女が喜んでいる声を聞いて、家にいた彼女の母親が外へ出て来る。

「どうしたの、涼華」
「わんわんいた!」

 母親は不安そうに辺りを見回した。そりゃそうだろう、見えない何かがいたと主張する子供がおかしいと思うはず。それとも野生動物に襲われる心配をしているのか。

「あの子の名前が分かったね」
「涼華か。あの婆さんと一緒、見えるんだな」

 それからは年に数回、山へ遊びに来るようになった。特に夏は婆さんの家に泊まったりもして、よく山で遊んでいた。毎年、毎年、来るたび彼女は成長していき、最初はよたよたと歩いていたのに、いつの間にかしっかりと自分の足で立っていて、しっかりと言葉も話すようになる。いつも一人で石ころを拾ったり、虫を捕まえたりしていて。一人で遊んで何が楽しいのか分からない。だが、彼女の笑顔は輝いていた。
 いつも通り、夏にやって来た彼女を見ていると、何を思ったのか、母親や婆さん達に黙って山へと入り始めた。

「今日は虫かな」
「虫網持ってないけど」
「石を拾うには川に行かなきゃ。川は家の真下なのに」
「何してんだ、アイツ」

 ついて行くと、彼女は俺達が住んでる廃寺へやって来た。どうやって場所が分かったのか。時々やって来ては掃除をして帰る爺さんに聞いたのか?と思っていると、彼女はシャツに包んでいた野菜を廃寺の前に置く。

「お爺ちゃんとお婆ちゃんが元気でいれますよーに!」

 俺達以外に誰も聞いちゃいないそんな願いを、手を合わせて丁寧に拝んでいた。誰も叶えちゃくれねーよと思いながら、後であれは俺達で食べようなんて、傑と話していた。
 暫くそこで拝んでいた彼女はふと来た道とは違う方へと進んでいく。帰るのではないのか、そっちじゃないと思いながら彼女について行く。何か目的があるなら別だろうが、キョロキョロと辺りを見回している為、迷っているのだろう。

「迷った……」

 やっぱりそうだ。今にも泣き出しそうな震える声で彼女は呟き、でも足を止めるのが不安なのか、ひたすらあらぬ方向へ進んで行く。

「あっちには崖がある。道案内をした方が良くないか?」
「面倒くさ」

 でも放ってはおけないと、俺達は彼女の前に姿を現した。俺達を見て、彼女はまるで太陽の光に反射した水面のようにキラキラとその瞳を輝かせる。また認識され、目が合ったことにドキリとした。

「狐さんと狸さんだ……!」

 触れようとしてくる彼女を避けながら、誘うように元のルートへ歩いて行く。俺達について来た彼女は子供とはいえ単純だ。でもこの方が都合が良いと、俺達は婆さん達の家まで案内した。森を抜けたいつも入って来る家の側まで戻って来ると、それに気づいた彼女は嬉しそうにあっ!と声を上げた。

「ありがとう!狐さん、狸さん!」

 傑が隣で狐らしく彼女にはキュウキュウと聞こえるように鳴いて「もう迷子になるんじゃないよ」と声を掛けた。人の言葉を話さなければ意味は伝わらないというのに、何故わざわざ声を掛けるんだ。

「はは、ありがとう!可愛い」

 涼華は意味も分かってないのに、傑にそっと手を伸ばして撫でる。「何触れられてんだ」と俺はただ驚いて彼女には分からないように話すと「彼女は安全だからね」と言って、嬉しそうにしている。すると彼女は俺にまで手を伸ばしてくる。すぐに覚えたての術式を発動させて、触れさせないようにした。

「悟、そっちの方が危険だ。ただの野生動物のように振る舞え」
「はぁ!?」
「いいから」

 術式を解くと、彼女の手が頭に触れた。温かくて柔らかい優しい手はとても心地良かった。何が起こっているか分かっていない彼女は俺を撫でてはすぐ手を離し、立ち上がる。すると母親が彼女の名を呼び、探していた。涼華がそれに気を取られている間に俺達はそこから逃げた。

「バイバイ!」

 遠くからそんな声が聞こえる。俺達はその出来事で彼女との距離が縮まったような気がした。
 それから涼華は夏にやって来ては、俺達を探すようになり、遊びに付き合ってやった。かくれんぼ、鬼ごっこ、遊び疲れて眠ったこともある。魅入られてたんだ、妖の見える人間に、彼女に、その無邪気さに、笑顔に。しかし、ある年から彼女が山へ来る回数が減った。「人間にも事情があるし、仕方ないだろう」と話す傑はどこか落ち着きなく、尻尾が下がっていた。そしてある年から、彼女はパタリと来なくなってしまった。

「どうして来ないんだろう」
「あの婆さんの所為じゃねーの」
「……確かめてみる?私達はもう、人に化けることも出来るだろう?」
「いいね、やってやろう」

 俺達は化け狐と化け狸、人間に化けることなど容易い。そうして俺達は人の姿に化けてみた。
 妖は人に適応する為、人に化ける手段を身につけた。俺には俺の、傑には傑の決まった姿がある。まぁ、俺達は化けることに特化している為、別の姿になることも出来るのだが、今は生まれ持った姿でいよう。

「やっぱり、この姿は慣れないね。声も」
「次からはこの姿でよくね?」
「うーん、でも、彼女を怖がらせたくはない。私達はただの人でも獣でもないんだから」

 バカっぽいから大丈夫だと思うけどと思いながら、俺は二本足で立つ。いつも見ている景色が大きく違って見える。

「子供の姿の方が警戒されないかな」
「んじゃ、子供で」

 俺達はその姿から人間の子供の姿へと変える。随分と視線が低くなったが、そのまま住処の廃寺から婆さん達の家へと向かう。人間の姿だから、堂々と歩けるもんだ。しかしその日、婆さんはいなかったが、畑で農作業をする爺さんを見かけた。今日は野菜を盗まないようにしなければ。

「なぁ、爺さん」

 俺が声を掛けると、彼は珍しいものを見たというように驚いた表情をしたが、声を上げて笑った。

「はは、随分と可愛い坊やに化けたもんだ」

 その言葉に、俺達はすぐに妖の見えない爺さんに見破られたと驚いた。何で分かったんだ。そう訊ね、言葉を交わすことに緊張してしまっていると、爺さんは体調が優れないのか、辛そうな表情をしてトマトを一つ取ると、俺にそれを投げた。俺はまだ覚束ない手でそれを受け止める。

「家内が、狐と狸が化けて出ると言うてね。本当だったわ」
「何故、私達がその狐と狸だと?」
「麓からここまで、車で三十分はかかる。それにこの辺には、私達しか住んでいない。この山道を子供二人で来れるはずもないだろう。それに、珍しい毛色だ」

 俺を見てそう言うと、爺さんはまたトマトを取って、今度は傑に投げる。傑もそれを受け取り、ただ計算外だったというように眉尻を下げた。今更バレたところで気にすることもないだろうと、俺は爺さんに訊ねる。

「涼華は?」
「あぁ、東京に引っ越したよ。涼華と遊んでくれたらしいね、ありがとう」
「……もう、来ないということですか?」
「都合が悪けりゃ、来ないだろうなぁ……すまないね。私も長く生きられないもんで、私が死んだら、家内も山を下りて娘夫婦と暮らすだろう。オマエ達も私の野菜が食えなくなるだろうからね、これからは別の物を食べるんだよ」

 爺さんは野菜をカゴに詰めていくと、辛そうにそれを運ぼうとした。傑が手伝うようにカゴを持ち上げ、縁側に置いた。それに悪いね、と眉を下げて笑う。

「家内が帰って来る前に持って行きなさい。オマエ達がよく悪戯をするから、怒るんだよ。はっはっは」

 考えていることはよく分からないが、とにかく気の良い爺さんだということは分かった。あと、酷く弱っているということも。

「爺さん、もう死ぬの?」
「あぁ……人間にしては長く生きた方なんだよ」

 すると車の音がして、俺達は婆さんが帰って来たのだと分かり、その場から逃げた。
 涼華はもう来ない。それが分かって、俺は少し寂しかったんだと思う。それは傑も同じだった。廃寺に帰ってから、爺さんの作った野菜を食べたが、相変わらず美味い。


***


「爺さん、死んだんだな」
「お爺さんの言った通り、お婆さんも山を下りるみたいだね」

 涼華の所在をお爺さんに尋ねたあの日の翌日、お爺さんは娘と共に山を下りた。それから夏が二度ほどやって来た頃、日課となっているお婆さんの家に行くと、お婆さん達が山を下りる準備をしているのを見て、私達はお爺さんが亡くなったのだと察した。しかし途中で具合が悪くなったのか、その場で膝をついてしまった。お婆さんの娘、涼華にとっての叔母は慌てて片付けもせず、車にお婆さんを乗せて去っていった。
 翌日も、そのまた翌日も、ずっと帰ってくることはなかった。代わりにそこにやって来たのは、お婆さんの娘だった。一人で玄関に放ったままの荷物を片付けていた。

「どうしたんだろう」
「婆さんまで死んだ?」
「まさか。お爺さんが亡くなったのは最近だろう?お婆さんまで?」
「……弱ってたし」

 あの仲の良い夫婦は死ぬ時まで一緒だったのだろうか。悟は死を感知しやすい。他人の死期までもを見抜いてしまうような、そんな眼を持っていた。それからお爺さんもお婆さんが帰ってくることもなければ、涼華がやって来ることはなかった。時折、あの人達の娘がやって来る程度となり、森は静かになった。そして、ずっとずっと、彼女がやって来ることはなかった。

「やっぱ婆さん達が死んでも来ないのか」
「死んだから来ないんだろう」
「……まぁ、別にいいっしょ。俺達二人でやって来たんだし、アイツや婆さん達がいない方が、この山が安定する。他の妖を呼ぶとかさ、好き勝手やってやろう」
「それもいいね、賑やかになりそうだ」

 夢というほどのことでもないが、私達は私達のようなはみ出し者の妖が生きていけるような場所が欲しかった。私達と涼華とでは、生きる世界が違うのだ。そう思っていても、彼女の手の温もりが忘れられない。それはきっと悟も同じことで。

「……山を下りて、捜してみる?」
「見つかるわけないだろう。彼女は東京という場所にいるらしいから」
「違うって!人間に紛れてる妖だよ」
「あぁ、そっち」

 私達は山の麓に下りて、妖を探そうと考えていた。ほとんど誰も来ることのない廃寺の賽銭箱から金を取り、街では動物の姿のままだと不便な為、人間の姿に扮した。森から抜けると、悟は日差しが眩しいと、お爺さんが被っていたような帽子を被った。私は昔、廃寺にやって来ていたお坊さんと同じ格好をした。

「傑、何でそんな暑い格好してんの?」
「他の人間と違って見えるだろう?」
「それ以前に目立つだろ」
「目立ったって関係ない。化け狐だとばれなければいい。それに、君の毛色もどうなんだ」
「だから帽子で隠したじゃん」
「その目は?」
「潰せっての?目の色まで変えんの面倒じゃん。わざわざ妖力使ってやることじゃない」
「なら、私の格好に文句を言うな」

 そこそこ気に入ってるんだ。それに、他の人間に紛れ込むようなことはあまりしたくない。お坊さんの格好とはいえ、妖の存在すら知らない、ただの人間とは違うと、そう思わせたかった。
 そうして私達は山を下りた。久しぶりに見た人間の住む街の景色に、私達はここへやって来た時と何も変わらないと思いながら、バスに乗る。

「お金足りる?」
「んー、どうだろう。小銭しかない。帰りは鳥にでも化けて帰るか」
「じゃあ行きもそうしたら良かったじゃん」
「多少は人間の暮らしについての知識もいる」
「山で暮らすのに?」
「あぁ。もしかしたら……必要になってくるかもしれないからね」

 知識は必要だと悟を説得したが、私はただ彼女を諦めきれずにいただけだ。またあの小さな手で私を撫でて、楽しそうに笑ってくれたなら。いつか妖である私を受け入れて、共に暮らすことが出来たのなら、人間に紛れて暮らすのも悪くはない。
 しかし、駅に辿り着いた私達は都会までの電車賃が足りないことに気づく。仕方がないから、この辺で探索だと二人で妖を探してみたが、見当たらなかった。そりゃこんな田舎なんだ、いるはずがない。いたとしたら、私達のように獣として山にいるはずだ。

「なぁ、残りで人間の飯食ってさ、鳥に化けて帰ろ」
「何食べる?」
「とにかく安いやつ」

 そう話しながら歩いていると、人間の子供が集まっている店があり、子供でも買えるような安い物があるのかもしれないとそこへ向かう。店内には小さな物が商品棚にギッチリと詰まっており、私達はこれは何だと思っていたが、十円などと安価な物が揃っている。そんな中で悟が惹かれたのは、子供が食べている色とりどりの物だ。カップに山積みにされた白っぽい粒に自然界ではなかなか見ない色をした液を掛けている。それを棒状の物で掬い取って食べていた。

「なぁ、それ美味い?」
「え?かき氷?メロン味が好き!」
「俺はイチゴ!」

 メロンやイチゴの味がする冷たい物、かき氷。白い粒は氷なのかと私達は考えていると、店主のお婆さんに悟が声を上げる。

「婆さん、かき氷いくら?」
「百円さ」
「安い!傑、かき氷にしよ」
「はいはい……」

 私はメロン味、悟はイチゴ味を注文した。店の前で子供達に倣って私達はそれを食べる。氷を削った物、つまり雪だろうと思って口にしたが、口内にそれが染みる。そしてじわりと頭が痛くなる。

「冷たっ」
「頭痛ぇ!でも甘い!美味い!」

 悟はお気に召したようだ。私はこれに百円払うなら、雪でもいいのではないかと思ったが、夏だから良いのだろう。
 周りにいた子供達を見ていると、昔大きく感じた彼女は、私達が人間の姿になればこれほどまでに小さいものなのだろうか、と感じた。

「お兄さん、何でそんな格好してんの?」
「特別だから」
「背ぇ、高いなぁ」
「わっ!お兄さんの目、青い!外国人?」
「俺も特別だから青いんだよ」

 どう答えるのが適切なのだろうか、そう考えながらもはぐらかしつつ、食べ終えた容器をゴミ箱に捨てると、私達はそのまま山へと帰ることにした。

「収穫なし!」
「残念、どうにかして稼がなければいけないね」
「もうそれ人間のすることじゃん。働きたくねぇ」
「働いて、ある程度お金が貯まったらさ、東京行けるよ?」
「……この山、捨てんの?」
「さぁ、どうだろう」
「東京って都会でしょ、見つからねーよ。意味ない」
「そうだね……」

 悟は諦めが早い。私は未練があるというのに。仕方がない、そう思いながら山へ帰って来ると、見慣れない人間が道を塞いでいることに気づく。

「悟、誰かいる」
「知ってる。あれ、祓い屋だな」
「バレていないと思っていたが……遂に来てしまったね」
「……殺す?」
「いや、話し合いだ。平和的に行こう。指名手配されてしまうからね」

 私はその祓い屋の男に近づいていく。随分とガタイの良い男だ。敵意はないことを示す為に両手を上げて見ると、彼から口を開いた。

「この山一帯を統治しているというのはオマエ達か」
「そうですけど、何か?私達は理想の住処を作る為に、悪い妖を追っ払っただけ。人間の敵ではないですよ」
「それは知っている。オマエ達を勧誘しに来た」
「何それ」
「俺は祓い屋協会の者だ。妖を式神として迎え入れ、人間と共存させている。オマエ達の力を借りたい」

 式神になるということは、人間に付き従うこととなる。そんなのはごめんだ。自由に生きたいと願い、こうして悟と出てきたのに、それでは何の意味もない。

「式神になるつもりはないですよ。自由でいたいんでね」
「式神になる必要はない。この生活を続けたいならそれでもいい。ただこちらも手が足りなくてな。対価は金、祓い屋協会へ来てくれさえすれば、安全な妖として登録出来る。時々仕事を任せるが、自由に暮らせる」

 きっと、人間として過ごしたい妖はそうするのだろう。涼華を捜す為には金が必要だ。しかし、この祓い屋の男が信用出来るとも限らない。

「金は今後、必要になって来るかもしれないが……」
「でも俺、あんまここから離れたくないんだけど」
「そうだね……手伝いはしよう」
「で、涼華も見つけてもらえばいいじゃん」

 悟はやはり諦めていなかったのか。そう思いながら、そうだねと私は彼に提案する。

「私達はその祓い屋協会とやらに行く気はない。ここが拠点だ。でも金は欲しい。働く条件として、もう亡くなってしまったが、この山の上にある家に住んでいた老夫婦の孫、涼華を見つけてもらいたい」
「……いいだろう、条件を呑もう」

 彼は祓い屋協会、会長の夜蛾 正道と名乗った。それだけ立場のある人間なら、彼女のことくらいすぐに分かるだろう。
 それにしても、また彼女に会えるのだと思うと、私はただ楽しみで仕方がなかった。






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