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今日はMANKAIカンパニー春組旗揚公演初日、あのイケメン王子様にまた会えるかと思うと楽しみで、朝の化粧も気合が入り、いつもより念入りにビューラーでまつげをあげ、さらには普段めんどくさがって巻かない髪まで巻いてしまった。
さすがに気合入れすぎたかな、でも昨日買った服もかわいい系のものだしいいよね。

昨日はあれから無事に家に着き、古市さんに改めてのお礼をLIMEで送ると、寝る前に帰ってきたので少しお話をして終わった。返事が返ってきたということは、登録してもらえたということなので非常に嬉しい。

公演会場に着き、席に着く。入場可能時間を少し超えたぐらいの時間に到着するようにきたためか、会場内は初日公演だというのに満員まではいかなくても若い女性でいっぱいだった。
フライヤーを見て感じていたことだったが、やはり劇団員がルックスのいい若い男性なため女性が多いんだなぁ。それにしてもほんとどうして古市さんはここの舞台は面白いって言ったんだろう、今日が初日のはずなのに。

周りを眺めながらそんなことを考えていると、ブーッというブザーのような音がして、幕が上がる。いよいよ始まるんだ、という高揚感に包まれた。

『今日こそ、ロザラインを誘うんだ…。』
『この花をください。宛名にはロザライン--』
一幕のロミオとジュリアスの出会いのシーンから始まり、二幕のマキューシオに誘われて出かけるパーティシーン、お互いの家が敵同士だと知ったロミオとジュリアスは二人で街に出る。そして、マキューシオとティボルトの暗躍…
王子様はティボルト役だった。
『モンタギューだって!?ジュリアス、こんな夜にそんな話をすると蛇が出るからやめなさい』
驚く演技、ただ怒るだけではなく諭すように冷静に言い聞かせる演技、心配そうな声、どれも瞬きするのを惜しむかのように惹きつけられた。
それはティボルトだけじゃない。ロミオ、ジュリアス、マキューシオ、ロレンス神父、全員が役を掴み、それぞれの言葉で表現しているからこそ目が離せない。

もみ合いの中ティボルトがマキューシオを刺し、止めに入ったロミオがティボルトを刺してしまったシーンでは涙が溢れて止まらなかった。あんなに儚く綺麗に倒れていく人がいるのかと思ったほどだ。
クライマックス前の殺陣は圧巻で、緊迫感が観客席にまで伝わってくる。そして、朝日を背にした旅立ちで終幕を迎えた。

私は気づいたら手が痛くなるのも気にせず無我夢中で手を叩いていた。それは周りのお客さんも同じで、私のように泣いてるひともたくさんいた。
カーテンコールでは、全員をしっかり見た上で彼の姿を忘れぬようにと、ティボルトを目に焼き付ける。そして、MANKAIカンパニー春組旗揚公演初日の舞台が終わってしまった。



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