Re. | ナノ
7

ナイトバロン談義は、ヒロくんがもう出るか、と言ったところで一旦止まる。

「……もうそんな時間か」
「ゼロくん、後で新刊の話はしよ?」
「そうだな。今日は外泊届けも出してあるし、夜も遅くまで話せるしな」
「お前らほどほどにしろよ」
「さーて、映画だー」
「は?!萩原も行くのか」
「へへー」
「上映開始から日が経ってるから、座席、取れると思うけど」
「お、何を見るんだ」

ぞろぞろと立ち上がり、尾行組が各々お金を出し、見る映画の話をする。某スパイ映画の名前を出すと、券売機の方へ松田くんが萩原くんを引っ張りながら向かう。なんとなく意図を察した。ゼロくんは不満げだ。

「ゼロくん?」
「いや、何でもない。ポップコーン、食べるか?」
「ううん、ジュースでいいかな」
「買ってくるよ」
「ありがとう。はい、じゃあ、トイレ行ってくるね」
「ん」

500円玉を渡して、オレンジジュースでお願い、と言って、トイレに向かう。
戻って、目印の金髪を見つけて、そちらへ向かう。

「おかえり、梨杏」
「おかえり、これ梨杏の分な」
「え、うん。って、チュロス、私のじゃ」
「映画長いみたいだし、軽食に食べとけ」
「お金……」
「こういうのは、男を立てさせろって。な?」

わかった、と受け取る。チケットを見せて、指定されたスクリーンへ向かう。

「萩原くん達はいいの?」
「売店で買ってから来るってよ。先に、入っておこうぜ」

そういって、座った座席は一番後ろの真ん中。左右にヒロくんとゼロくんが座る。映画を見るときは基本二人に挟まれているなあ、と思いながら、チュロスをかじった。


「ギルバートが死んだ……」
「あれだけ死亡フラグ乱立させれば死ぬよな」
「ギルバートはいつも死亡フラグ乱立させながら生きてたから、今回も大丈夫だと思ったのに……」
「とりあえず、少し遅めの昼食にしよう。何食べる?」
「なんでも」
「うーん、じゃあ、あそこにしようぜ、ドリンクバーがあるあそこがあっただろ」

映画を見終わり、外に出て、主人公の相棒であるギルバートが亡くなったことを思い出す。このスパイ映画だが、ストーリー面も地味であるスパイ活動中も飽きさせない作りだ。スパイ活動をしたことのある私からすれば、んなことあり得ないのオンパレードなのだが、それでも好きなシリーズだった。

「いつまでも落ち込んでるだけじゃだめだ、梨杏」
「ご飯食べて楽しい話しような?」
「うん」


ファミレスで1時間半ほど滞在して、ゲーセンに行く。ガンシューティングゲームでゼロくんと組む。ヒロくんがそこ入ってくる、と車に乗って遅いかかるゾンビを撃つゲームを示す。頷く私とゼロくん。萩原くんが誘われ、連れていかれる。なんで、と騒ぐと時間かかるぞー、とヒロくんが笑った。

READYと言う文字がGO、と変わる。設定選択時は軽口を調整するが、本番は多分、目付きが変わっている。

「梨杏、右」
「OK、リロードまで3」
「今大丈夫」
「最高難易度選択してなかったか?」
「なんてことないようにしてたな。もしかして諸伏、このこと知って、他のゲームしに行ったんじゃ」
「様子見に行くか」


「まあ、こんなもんか」
「初見にしては上出来かな?」

最終ステージをクリアして、銃を戻す。さて、ヒロくんのところに行こうか、と振り向くと観客がいた。ゼロくんと顔を合わせて、苦笑いをする。

「ヒロくんはいつものあれかな?」
「終わってなかったら多分な」

乗車型のゲームを見ると、入り口に顔を突っ込んでいる二人。後ろも薄いスモークがかかっているが、見えるので、見ると、一緒にやっていた萩原くんはゲームオーバーしたようだけど、ヒロくんの方を見ると、HPはまだ全然余裕がある。しかも、この敵、多分、ラスボスだ。この分じゃもうすぐ終わるな、とゼロくんが呟くので頷いた。


「お疲れー」
「終わったのか?」
「ああ、ついさっきな」

なんか、周りに人がいて驚いたよ。と言うと、ああ、とゼロくんが頷く。

「そりゃあんな連携プレー見せながら、銃ぶっぱなしてたらな」
「えー俺も見たかった!」
「次はどうする?」
「無視か、降谷!」
とわいわいとゲーセンで遊んだ。

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