いとこいし | ナノ
鼓動をからめて

あれから1年経って、承太郎はアメリカに発った。私は、仕事を始めた。承太郎と文通をしたお陰で、遠距離恋愛もなんとかなったらしい、4年経った今でも、私と承太郎は付き合っていた。

承太郎が大学を卒業し、日本に帰ってくる、という手紙が届いて2週間。たまに日本に帰って来てくれたけれど、帰国している1週間の間で一緒にいるのが、4日。何もしない。承太郎といる1日が好きで、私は承太郎じゃないとダメなんだな、て思った。承太郎には、伝えなかったけど。

着陸する飛行機を眺めながら、この4年間を思い出す。寂しいときは手紙を読み返したし、時差の関係であまり話せなかったけど、電話だって、した。お金はたくさん貯めたし、英語も多分、多少は話せるようになった。承太郎の友達の花京院くんが、気にかけてくれたりもしたし。

アメリカの――空港より――――。

来た。逸る胸を抑えて、入国審査ゲートの出口の近くに向かった。

暫く経って、一際目立つ彼が見えて、胸が高鳴った。

「楓」
「おかえりなさい、承太郎!」

自然に一目のつかないところに誘導されて、抱き締められた。私も腕を背中に回す。顔が承太郎のお腹に当たる。会いたかった、なんて言われて、私も、と言う。少し息苦しいけど、もうちょっとだけ。

少しだけ落ち着いて、早い承太郎の心臓の音が聞こえてきた。承太郎も少しは緊張してるらしい。名残惜しそうに回されていた腕が緩まる。

「お袋が迎えにくるって言ってたし、行こうぜ」
「う、うん!」

さらりと繋がれた手に少し驚きつつも、ぎゅっと握った。ホリィさんの車にお邪魔して、そのまま夕御飯を誘われて、家に帰って、次の日。

ちょっと話そうぜ、と言った承太郎と、散歩して、寺の境内にいた。

「楓」
「どうしたの、承太郎?」

名前を呼ばれて、見上げれば、キスをされた。不意打ちで目を見開く私に承太郎は帽子を下げて、少し笑っているらしい。

「承太郎!」
「いや、わりぃ。やっぱりどっちも俺は捨てきれねえ」
「…………承太郎?」
「アメリカに来て、一緒に住もうぜ」
「!」

説明を求めると、承太郎は、向こうの大学院を経て、研究職に就きたいらしい。拠点はアメリカになるし、日本で居を構えて、とはいきそうにないみたいで。それが嫌なら俺と別れろ、らしい。

「今更だよ。そんなこと」
「楓」
「この4年間ね、お仕事して、お金貯めてたの。それで、英語の勉強もして、少し寂しかったけれど、でも承太郎のことが好きだから」
「…………ああ、そうだったな。俺とアメリカに来てくれるか」
「はい」

そのために、お父さんを説得してね、と言うと、やれやれだぜ、なんて久しぶりの口癖を聞いた。

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