そのチョコは誰から?
「ただいま〜!!」
「おかえりなさい、楓様。………で、その箱は?」
公園で遊んでくる、と言って、家を出ていった楓を心配しながら、何かあれば駆けつけよう、と思いながら、楓に渡すチョコを作っていた玉藻。帰ってきた楓を見たとき、思わず持っている物に固まった。
「あのね!いつもあそんでるこーえんでおにいちゃんがくれたの!」
「大人ですよね………?」
「おにいちゃん!」
「…………そうですか。わかりました、楓様。外に出るときは、玉藻と一緒に行きましょうね?」
「……なんで?」
「どうしてもです。玉藻は………楓様の味方ですが、世の中、物騒なようです。楓様」
「なぁに?」
「知らない人から物は貰ってはいけません。それに、ついていってはいけませんからね?」
「どうして?」
首をコテンと傾ける楓に玉藻は真っ直ぐと楓の方を見据えている。
「楓様は玉藻と離ればなれになりたいですか……?」
「いやだ!たまちゃんとはなればなれはやだ!」
「玉藻もぉ……楓様と離ればなれになりたくないですぅ。だから、楓様。知らない男からのプレゼントなんて、断固拒否です!玉藻のチョコを召し上がれ」
「わーい!たまちゃん、チョコつくってくれたの?」
たまちゃんだいすき!と玉藻に抱きつく。楓の死角で玉藻はガッツポーズをする。
「まあ……美味しいかはわからないですけどぉ」
「うんうん、たまちゃんのつくったものってぜんぶおいしいから、かえでうれしい!」
玉藻から受け取った箱を開けて、チョコを口に入れる。おいしー、と言って、チョコを玉藻の方に出す。
「あー」
「あー?ん!」
玉藻に無理矢理ぽいっとチョコを入れる。おいしーでしょー?と楓は満面な笑顔で言っている。
「……うーん……美味しいですけどぉ」
「ありがとね!たまちゃん!」
「そりゃあ、良妻ですからね!」
楓に誉められ、少し照れている玉藻。また、つくってね!、という楓のお願いに笑顔ではい!と答えた。
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