彼の望むもの
※ウルク時代
主は転生者で一般民衆でギルガメッシュの妾。
でも、ギルガメッシュ→→→←主
今日のウルクはお祭りムードだ。まあ、当然だろう。この国の王の誕生日だ。祝わないわけがない。というわけで、彼の王は民衆達が献上する品を見定めているだろう。そんな風景を私は見ることなく、与えられた部屋で暇を持て余していた。まだ、彼の王は戻ってこない。だから、少し、ここを出て、街を出たい、と思って、窓に足を掛けたときだ。
「何をしている。カエデ」
と、二度目の人生で二度目の死刑宣告が聞こえた気がした。
「……お、う」
「何処に行くつもりだった」
「暇、だったので、少し、城下、に」
そう言うと、皺が寄っていたのが、更に寄った。やっぱり殺される。
「来い」
「はい」
来い、と言いながら、私の腕を掴む王はやはり王だ。
連れられた部屋には多くの装飾品や食べ物がある。
「好きなものを選べ」
「え……?殺さないんですか?」
そう言うと、驚かれた。
「だって、逃げようとした、から」
「暇であったからであろう?」
退屈ならば仕方ない、と言って、選べ、と再び言った。
「じゃあ、これを」
私が選んだのは、シンプルな指輪。
「これでいいのか?」
「はい」
そう言うと、王、自らが指輪を左薬指に嵌めてくれる。
この時代に、こんなしきたりは無いのだろうけど、嬉しいものは嬉しい。
「王、ありがとう、ございます」
そう言うと、王は少し顔の頬を染めた。
「その顔が見たかった」
「そうなのですか?」
「ああ、我はお前のカエデの我に向けているその幸せな顔が見たかった」
「王、様」
そう言うと、王ではなく、名で呼べと王が言う。
「ギルガメッシュ様……。お誕生日、おめでとうございます。ギルガメッシュ様が生まれてくれて、私、嬉しいです」
「…そ、そうか?」
「はい、ギルガメッシュ様に贈れるような品はありませんが、そう思っています」
嬉しそうな顔をして、抱きついてきた。王様は暴君と有名だけれども、この可愛い行動をする王も王の一部なのだろう。
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