お願い!サンタさん!
「あーちゃー!」
と、舌足らずな呼び方でキッチンにいたあーちゃーこと、エミヤを呼ぶ楓。
「なにかね、マスター」
「あーちゃー、サンタさんにプレゼントもらえるかな?」
「………マスターはいい子にしてたかね?」
「してたとおもう!あーちゃーをこまらせてはないとおもうの!」
そう言う楓にキッチンから顔を見せるエミヤはふっと笑みを浮かべる。そうして、楓の元へ行くと、頭を撫でる。
「ああ……そうだな。マスターはサンタに何を貰うのだね」
「えほん!あーちゃーにねるまえによんでもらうえほんもらうんだー!」
無邪気な笑顔を見せながら、そう言った楓を見たエミヤは、口元を押さえる。
「(かわいい……かわいいのだが………。これは、楓が大人になったときが恐ろしいのだが……。まあ、楓の欲しいものがわかったし、いいとするか)」
「ねえ、あーちゃー。あしたのけーきたのしみ!」
「ふっそうか。そんなに私が作ったケーキが好きなのかね?」
「あーちゃーがつくったけーきってけーきやさんよりもおいしいからだいすき!」
「そう言って貰えると私も腕を奮う甲斐があるものだ。少し味見するかね?マスター」
「するー!」
そう言って、エミヤと楓はキッチンに行き、楓の届かないキッチンから、クリームをつけた苺を楓に手渡す。
「あまーい!」
「こんな甘さでいいかね?」
「うん!ちょうどいいよ!」
口にクリームをつけて満面の笑顔を見せる楓に再びふっと笑みを浮かべる。
「マスター、クリームが口に付いているぞ」
そう言って、楓についたクリームを取る。
「あー!ん!」
「こら、マスター!」
クリームを掬ったエミヤの指を楓はくわえたのだ。
「くひーむおいひい」
「離すんだ、マスター」
「ふぁーい」
エミヤの顔が少し赤くなったのを楓は知らないだろう。
翌日、絵本のプレゼントにはしゃいで、エミヤに「読んで!」とお願いするのだった。
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