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そう簡単に切れるものじゃないと知る

前回の(なんてなかったよ!)あらすじ
軽率に人理修復して、楓は日本に、サーヴァントはカルデアに、という感じ。人々に世界を救った英霊たちを知ってもらおうと、筆を取った。SNSの反響により、ちょいちょい有名になり、夏コミに出ることになったよ!(イマココ)


楓ちゃ〜ん!と呼ばれ振り向く。腕を振りながら駆け寄るのはジャンヌだ。その後ろを歩くのはジャンヌから色素を抜いたオルタ。呆れたような顔をしながら、ジャンヌについている。

「久しぶりね、楓」
「ジャンヌもジャンヌオルタも元気そうでよかった。今日は……ごめんね?」
「いいえ。この時期のカルデアは夏期休暇なのです。問題を起こさなければカルデアの外を出てもいいとの許可をいただきまして」
「そうなんだ」
「黒髭も日本で行われるコミットに参戦する、と言っていたわね」

こっちだよ、と案内しながら、最近のカルデアの様子を聞いていたら、黒髭の話になり、何もないところで躓く。大丈夫ですか、と心配するジャンヌに問題ないと伝えながら、夏コトの売り子に来てくれた二人に感謝を伝える。
そう、今回二人が来日したのは、コミットの売り子をするためだ。ことの発端は、私がサーヴァントたちと個人個人時間を設け、テレビ電話をしていた時の話だ。現在私は大学の文学部に進学しており、縁を結んだサーヴァントたちの歴史を研究しており、あまり周知されていない英霊たちを宣伝する計画を立てた。勿論、カルデアにいるサーヴァントたちに許可はもらっており、ついに夏コトで同人誌という形でだが、発行するに至った。その話を、サバフェスで苦楽を共にしたジャンヌオルタに話をして、私も描いたものがあるから委託という形で出したい、と頼まれ、ジャンヌからも委託を頼まれ、今日に至った。
ちなみに黒髭からもSNSのDMでマスターのところはチェックしておりますぞ、と言われた。売り子の話はしていないが。

「明日のことはさておき、まずは東京観光と行きましょう!」
「ねえ、楓を振り回すつもりじゃないでしょうね、あんた」
「そんなわけありません!では……」

と否定しながらもジャンヌは片腕を掴み、まずはあそこへ行きましょう!と高らかに言った。


そして、翌日、コミットは始まった。

「…………サバフェスよりも人口が凄いわね」
「まあ、平均15万人以上は来るような日本最大のイベントだもの、ね」
「マスター殿ー、来ましたぞ!って!?」
「あら、私たちが売り子じゃダメだったかしら」

新刊を2冊と委託本1冊ずつください、と言う黒髭に丁度の金額をもらい、2冊渡す。

「いえいえそういうことでは」

でれでれとした顔の黒髭は、美少女3人の売り子なんて困惑してる、と言う。

「何よ、それ」
「変に絡まれたら連絡するでござるよー」

そう言って、大手サークルに並んでくる、と行ってしまった黒髭を見送った。

結果、黒髭が心配していたことはなかった、ような気がする。いや、ちょっと絡んできた男はいたはいたが、ジャンヌオルタが睨んだ。ら、すぐに解決した。

荷物をまとめ、委託と郵送を頼み、片付けをしたジャンヌ二人と共に会場を後にする。

「楽しかったですね!」
「相変わらず、人は山のようにいましたけどね」
「この後は、アフター、というのをやるんですよね!」
「その前に一旦ホテルに戻りたいわ」
「オルタはいつか買っていましたものね」

設営が終わるとジャンヌオルタは本を買いに行っていた。その時の『戦利品』だろう。

「ええ!いくつかチェックしていたのだけど、全て買えたわ。チケットの力は偉大ね!」

本当に嬉しそうなジャンヌオルタを見ながら、ホテルでキーを受け取り、部屋に入る。

「シャワー、浴びてきます」
「行ってらっしゃい」

戦利品を丁寧にスーツケースに納めていくジャンヌオルタに、どんな話を描いたのかを聞く。

「サバフェスで描いたものの再録本。ギャグもハーレムもごちゃ混ぜの、ね。加筆修正は入れたけれど」
「一冊、買えばよかったなあ」
「ここに一冊、あるわよ。交換、しなさい」
「うん、ありがとう。ジャンヌオルタ」

そう言えば、そっぽ向いて、面白くなかったら燃やしなさい、と言った。

「お待たせしました!ってどうしたんですか?」
「な、なんでもないわ。ほら、アフターはどこに行くのかしら。マスター?」
「アフターは焼肉が鉄板だと思う!」

オレンジジュースで乾杯して、焼肉を食べた。ジャンヌは特に食べて、オルタが凄い目で見ていた。

「今日はありがとう!」
「私も……楽しかったわ……」
「はい、楽しかったです!」
「次の冬コトも一緒に出ない?」
「いいですね、出ましょう!」
「今度はサバフェスで一番を取ったあれを更にいいものにして持ってくるわ!」
「ふふ、またよろしくね、ジャンヌ」
「ええ、よろしくお願いしますね、楓?」
「ふふ、よろしくお願いします。マスター」

私が結んだ縁はそう簡単に途切れるものではなさそうだ。

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