カリン
「カエデ!」
「シーザー、おはよう」
「ああ、おはよう。君に、これを」
「…………花?」
「カリンという花だ。今日は、誕生日だっただろう?おめでとう。カエデが生まれた日だ。カエデの両親には、感謝しきれないな」
修行から抜け出せなくてこんな物でしか、申し訳ないが。そういうシーザーから花を受け取る。
「ふふ、嬉しいよ。ありがとう、シーザー。今年は祝ってもらえないと思ってた」
「カエデを祝ったのは、俺が最初か。それは光栄なことだ」
そう笑うシーザーはキラキラと輝いているように、見えた。
「…………シーザー、ありがとう」
「………………いや、大切なカエデの誕生日だからな。良ければ、今度一緒に街にデートに行こう」
「えっ、あ、あの、シーザー?」
こんな物しか贈らないなんて思わないでくれ、と言うと、俺はカエデが好きなんだ。と言ってくる。
「冗談でしょ、シーザー」
「冗談じゃない。その花、カリンと言うんだが……花言葉を調べて欲しい。もし、それで、受けてくれるなら、明日の昼、船着き場で待っていてくれ」
そういって、修行だからと言って、行ったシーザーを見送る。
休憩中に、花言葉を調べて、赤面した。
「………………シーザー」
「ああ、嬉しいよ。カエデ」
改めて、お誕生日おめでとう。
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