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審神者にされた後の話2

トントン

「……おい、出るからな。俺たちが家に帰ってくるまで家を出るなよ」

カタカタカタカタ

「楓」
「…………」

カタカタカタカタ

「…………」

「くあっ」

体を伸ばす。一仕事が終わる。このデータを会社に出すと、冬コミに出すROMに手をつけようと思う。明日から手をつけよう。徹夜は集中できるが、眠い。布団に入ると、数秒で意識が無くなった。

起きると15:00だ。仕事用のメールを見ると、OKの文字が並んでいる。ふう、と息を吐いてTLを巡回する。自分の趣味垢で「仕事が落ち着いたので、今からゲーム作成頑張りまーす!」と、呟く。いいね!をされる通知に早速か、と思いながら、本屋の入荷情報提供見て、思わず財布を持つ。

「みんなー?」

と呼ぶが返事はない。どうやら、みんなは出ているみたいだ。

「まあ、いっか」

近くの本屋までだし、とマフラーをテキトーに巻いて、家を出た。

本屋で欲しい本を買ってホクホクする。るんるんと帰っていると、悪寒を感じて、足を止める。後ろを見ると、予想通りというか、空間が歪む。見んなとの出会いを思い出して、ひゅっと息が洩れた。

「助けて、国広」

思わず出た名前に驚きながら、後ずさる。今回はもう無理かな。と諦めて目を閉じる。襲われるであろう痛みに身構えるが、痛みは来ない。がっと肩を掴まれた。

「おい!」
「…………国広!?」
「外に出るなと言っただろう!」
「き、聞いてない……!」

そういうと国広はため息を吐く。あんたは仕事をしていたからな、と言われた。とりあえず家に帰るぞ、という国広は手を引いていく。……掴まれた手首が痛い。

「国広、怒ってる?」
「………………」
「くに、」
「あんた、死ぬ気だったのか」

足を止める国広に私も止まる。

頼むから死なないでくれ。と国広は私を抱き締める。…………え?見上げると、白い布を被っている国広の顔が見える。

「きれい」
「綺麗とか……言うな。あんたの方が、きれいだ」
「きれいじゃないよ、国広の方が」
「あんたの魂はけがれない」

というと抱き抱えられて、びっくりする。あの、重いから、やめ。

「ちょっ国広。重いでしょ!?」
「軽い。もっと食べろ。……燭台切に頼むか」
「やめて、光忠に言うのはやめて!」

そう言うと笑う国広に目を見開く。……国広が笑った。

「あんたはそれでいい。……帰るか」
「……うん」

降ろしてくれそうになく、私は抱えられたまま、家に帰った。

……………………その後、こっぴどくみんなに怒られたのは言うまでもない。

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