Short | ナノ
仕送り

※幼馴染み設定

「……………ここかな?」

紙袋を持ちながら、メモを見て、クロウちゃんの家を探す。けど、どう考えてもここしかない。
BRRなんて傾いてる光がチカチカと点滅してて……。クロウちゃんは大丈夫なのだろうか。

入ろうか、入らないか、悩んでいたら、ドアが開いた。

「っ!」
「あ?どうした。ここになんか用か?」
「あの、えっと………く、く……」
「?とりあえず、用があるなら入るか?」
「え、あ、ひゃい!」

豹の人?の後ろを歩く。怖くて、着いてきちゃったけど、襲われないよね……?

目的の場所に着いたようで、扉が開く。

「ん?ロムなんで戻ってき……」
「あん?この嬢ちゃんがここに入りたそうにしたから入れただけだよ」
「ファンだったら、どうしてたのかしら、ロム」
「あ、それは……」

「クロウちゃん!」

「「「!?」」」

目的の人物を見つけて、飛びつく。後ろで息を呑む音がしたけど、なんでだろ?

「カエデ!?どうしてここにいるんだよ!」
「クロウちゃんのお母さんに頼まれて、MIDICITYに行くんだったら、クロウちゃんにこれ、渡してって」

そう言ってから紙袋を渡す。大体は牛乳だ。

「大丈夫だったか?カエデ」
「うん、どうにかなったよ、クロウちゃん!」

やっぱり、後ろでガシャーンやら、カランカランと音が聞こえる。うん、やっぱり……。

「クロウちゃん、更にかっこよくなったね!」
「そ、そうだろ!
……まぁ、カエデは更にかわいくなったけど」
「何か言った?」
「い、言ってねぇよ!?」

クロウちゃんがそう言うならそうなのだろう。

「(こちらにはバレバレですわよ……)」
「(リア充……?)」
「(あ、あの子かわいい……!)」

「そうだ。クロウちゃん、明日のライブ楽しみにしてるね!」
「お、おう……!」

言うこと言ったし、宿を探さねば……!

「じゃあ、また明日」
「ちょっとお嬢さん、ホテルはどこかな?」
「………たまご……がた?今から探しますけど」
「はあ!?ホテル決まってないのかよ!」
「だって、急にクロウちゃんのお母さんが昨日、明日にライブがあるからついでに仕送りもって……」

急だったし、あれだったら、野宿でもいい気がする。方向音痴だし私。

「社長!部屋空いてるんだよな?」
「空いてますぞ、今日1日泊まるといいですぞ」

ということで、空き部屋に泊まらせてもらうことになったけども……。

「私。知らないところで寝られないのに……」

シャワーを浴びて、ジャージ姿になって、ベッドに寝転ぶけど、寝られる気配が全然しない。

「……クロウちゃんの部屋、前の部屋だったよね……?」

思い立ったら即行動。
クロウちゃんの部屋のドアをノックする。

「あ、なんだよ……カエデ」
「クロウちゃん、寝れないから一緒に寝て?」
「ばっ……。………仕方ねぇな!カエデは!ほ、ほら、入れよ」

クロウちゃんの部屋に入る。相変わらず、綺麗に整頓されている部屋だ。

「クロウちゃん、寝てた?」
「いや、そろそろ寝ようとしてたところだ。ほら、寝るんだろ」
「うん!」

クロウちゃんのベッドに入って、部屋の電気が消える。

「おやすみなさい……」
「おう、おやすみ」


そして、クロウちゃんを起こしにきたロムさんが発狂するのは別のお話……。

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