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二人の約束

美遊軸世界の5次聖杯戦争の一幕
これの設定

「士郎、ご飯は食べなよ」
「…………ああ、もうそんな時間だったか」
「夜は魔術師達が動き出す時間だから、少し早めの晩御飯だけどね」
「……楓」
「今日の敵はライダー。騎乗兵のクラス」
「ライダー、か」

真名はやっぱりわからなかった、と伝える。真名看破は聖杯戦争時大きな役割を果たす。……まあ、士郎のクラスカードは、未来の士郎、英霊エミヤ。真名を知られたところで、何のデメリットでも、なかった。

「でも、魔眼持ちみたい。体が動かなくなるっていう効果、だと思う」
「注意する」
「今回は遠くからの射撃にする。もし、動きを止められても、こっちに目を引くことは出来ると思うから」
「そこで隙を討つか」
「うん」

作戦通り、ライダーを倒すことに成功してクラスカードを得た士郎と帰路に着く。

「ねえ、士郎。聖杯戦争に勝って、美遊に会って、言いたいこと言って、聖杯に願うことは、何にするの?」
「…………何を言っても、いいのか」
「その、答えによるかもしれない。でも、士郎なら、そっちを選んでくれると思ってるから、聞くの」

「……――が」

美遊が、もう苦しまなくていい世界に。

士郎はそう言った。世界を救うことをやめ、美遊を選ぶという選択肢だった。

「………………そう、よかった」
「まさか、楓も?」
「切嗣の目指したものは、途方もなく、果てしない、奇跡でしか叶えられないものだった。けども、私は、美遊と士郎と、3人で過ごす生活が一番、幸せだったから」

あの、かけがえのない日々に戻れるなら、本当の家族として。

名前を呼ばれて、士郎を見る。血も繋がっていないのに、切嗣の目元そっくりになった士郎の目から、涙が落ちた。

「士郎」
「楓、頼みがある。美遊を」

守ってくれ。

「うん、わかった」

その時、こうなることを、士郎はわかっていたのかも知れない。美遊の周りに展開される魔方陣の中で、気を失った美遊の手を繋ぎながら、士郎の背を見つめながら、思った。クラスカード、アーチャーを持ったエインズワースを相対する士郎に、言った。

「こっちは、私に任せて」
「ああ、任した」

体は剣で出来ている。そう、詠唱を始めた士郎は、全力でエインズワースと戦うためだろう。意識が遠退き始めた。美遊の手を話さないように残った意識を集中させる。私が、守るんだ。だって、お姉ちゃんだもの、ね。

――視界が黒に染まった。

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