晴れ渡る空は | ナノ
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「おい、追っ手だぞ!!後方50mに4人だ。こんな時間まで仕事とは頭が下がるが……奴ら、今日はずいぶんと少数だ」
「フッまた憲兵団か。こりない連中だぜ……。なあ兄貴!!今の台詞、カッコよくね!?」
「イザベル……」
「馬鹿か。なんにしろ、このままアジトまで招待するわけにはいかねえ。面倒くせえが……カエデ」
「ん」

装置で先に行きながらリヴァイに呼ばれて返事をする。

「ファーラン」
「おう」
「イザベル」
「おう」
「いくぞ!」
「りョーかい!」

装置のワイヤーを飛ばして、橋の下を通る。

「いやっはー!!」

イザベルは楽しんでいるみたいだけど、距離が詰められている。

「リヴァイ、まだついてきてる」
「しかもさっきより詰められてる」
「…………」
「憲兵団のくせにやるじゃねぇの。今日こそ本気出して捕まえようってか」
「地下まで出張してくるぐらい上はヒマなのかね。王様の顔色だけ窺ってくれてりゃいいのに、迷惑な話だ」
「いや……それにしちゃ様子がおかしい。ヤツら……憲兵団じゃないかもしれん」
「……?」
「なにっそれじゃあ……」
「……確かめてやる。次の柱で急旋回だ」
「はァい」

目の前にある柱にワイヤーをつけて旋回する。追っ手もちゃんと旋回する。

「ヒューッやるじゃん!!っといけね……」
「…………。さすがは調査兵団、か」

屋根に降りる。アレが……自由の翼。

「なにっ調査兵団だって?間違いないのか!?」
「ああ、すれ違う瞬間、背中の紋章が見えた。あれが、自由の翼だ」
「調査兵団って壁外で実際に巨人と戦ってるヤツらだろ?さすが、実戦で鍛えてるヤツらはちがうな。リヴァイ」
「俺はヤツらに関わるつもりは無ぇ。だが、こうなった以上簡単に逃げ切れる相手じゃないぞ」
「うん、わかってる」
「負けねぇ!!1匹残らず泣かしてやるぜ」
「クソ……厄介なことになったな。もし捕まったりなんかしたらきっと、この装置も没収されるぞ。たとえ、お咎め無しでも面倒な事になっちまう」
「捕まらなきゃいいんだ」
「いいんだ!」
「うん!」
「そうかよ!」
「お前ら分かってるな?」
「もち!」
「当然!」
「ハイハイ」

そう言って、イザベルが左、ファーランが右、リヴァイと私が正面、で、私は全速力で行く。リヴァイは後ろにいるはず。追っ手に来たのはリーダー格の2人。

「…………大丈夫かなァ」

私は合流場所が見えるところで隠れる。リヴァイは来た……けど仕掛けられた。まだだ。こっちに来た追っ手は2人。まだ1人隠れてる。まだ、出ちゃダメ。…………出てきた!
吹っ飛ばされたリヴァイを見て、窓から飛び出した。

「仕留めたか、エルヴィン」
「…………いや」
「死ねェ!」
「くっ」

ナイフでソレを殺そうとしたら後ろから止められた。

「よせ!周りをよく見ろ!」
「離せっ!!このっ」
「分隊長、ご無事ですか!!」
「無駄に暴れるな、イザベル」

そこにいるのは捕まった2人。

「ああ、2人ともよくやってくれた」
「「…………」」

2人を人質にされた以上、抵抗はできなかった。腕を拘束され、膝立ちにされる。

「いくつか質問させてもらう。これをどこで手に入れた?」
「「「…………」」」
「立体起動の腕も見事だった。あれは誰に教わった?」
「「「…………」」」
「お前がリーダーだな?兵団で訓練を受けたことがあるのか?」
「…………」
「どうやって私たちを殺して、逃げてやろうかといった顔だな。できれば手荒なマネはしたくないのだが……」
「!」

そういうと男は目配らせをすると、リヴァイの頭を地面に押さえつけた。

「てめェ!くッ」
「ぐっ」
「もう一度訊こう。立体起動をどこで学んだ?」
「誰にも習ってねぇよ!!公僕の分際で偉そうにいばるな!!」
「ゴミ溜めで生きるために身につけたのさ。下水の味も知らねぇお前らには分からんだろうよ」
「私の名前はエルヴィン・スミス。お前の名前は?」
「…………」

リヴァイは何も言わない。だから、また頭を地面に、泥水に浸けられて、がはっと言っている。助けたいのに、拘束されてるせいでガチャガチャと動いても意味がない。関節を外そうとした時、首に刃が突きつけれた。

「見上げた根性だが、このままどはお前の仲間に手をかけることになるぞ」
「!」
「やるならさっさとやれよ!!」
「いいさ、殺せよ」
「てめぇ……」
「お前の名前は?」
「…………、リヴァイだ」

リヴァイ、と呼びながら、ソレは泥水に、地面に膝を付く。

「私と取引をしないか?」
「取引……?」
「お前たちの罪は問わない。かわりに力を貸せ調査兵団へ入団するのだ」
「断ったら?」
「憲兵団に引き渡す。これまでの罪を考えればお前はもとよりお前の仲間もまともな扱いは望めんだろう」
「…………」
「好きな方を選ぶがいい」

リヴァイは視線をこちらの方にやっている。ギリと歯ぎしりしたように見えた。

「いいだろう。調査兵団に入ってやる」

リヴァイの決めたことなら、私はついていく。

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