7.彼は今日から女の子?
「……あ、あのぉ……主さん……」
「ん……?堀川くん?」
審神者を起こしたのは、堀川国広だ。いつもなら、近侍である山姥切国広が起こすので、疑問に思う。
国広はどうしたのかと問えば、兄弟なら部屋で閉じ籠っていますよ、なんて言うので、楓は立ち上がった。朝餉を食べ、近侍の部屋に何の断りもなく、スパーンと襖を開けた。
「…………!?」
「…………………………」
ちょっと待て、と冷静になろうとする。目の前にいる美女は誰なのだろうか。金髪の蒼眼、己が近侍と重なるところがあるせいで、一度襖を閉める。落ち着け、落ち着け私。と念じる楓。
開けるね、国広。と声をかけて、襖を開ける。
「ウン、ソウダヨネ」
「………………」
「国広、だよね?」
「ああ、そうだ」
低い声でなく、高い声に違和感を覚えながら、楓は白い布を被っている山姥切国広のフードを退ける。
「凄く、綺麗」
「綺麗とか、言うな」
「もう、本当に……なんで、そんなに綺麗なワケ?!」
「だから、俺は綺麗じゃない……!」
「国広が美女じゃないなら私は何よ!?」
「あんたの方が綺麗だろ?!」
「!?」
恐らく、男のときに言われていたら、直ぐ様自室に戻り部屋中をゴロゴロして喜ぶだろうが、状況がそれを許してくれず、できるだけポーカーフェイスをしている。
「ほんと、可愛い」
「あんたの基準がわからない」
「というか嫁に来よ」
「止めてくれ」
女の子同士ならいいか、と楓はぎゅーっと山姥切国広に抱きつく。
「おっきい」
「おい、あるじ、さわ」
「触る!ぱふぱふおっきいとか羨ましい!」
「勘弁してくれ、主!!」
審神者に用があった長谷部が耐えきれずに、襖を開けるまでーーーー。
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