近侍が大変です! | ナノ
6.キスで目覚めるらしい?

入れ替わりは治ることなく、3日目なのだが、一向に姿、審神者の中身、山姥切国広が起きない。楓は疑問に思い、自室へ行けば、青白い顔の自分がいる。

「……!?国広!」
「…………」

返事がない。脈も息もしている、命に別状はないはず。何が原因なのか、考えても考えても、答えには至らず、居間で相談しようと腰を上げた。

「何?主の御体が!?」
「は、長谷部、落ち着いて!」

相談すれば、一番に心配するのは、長谷部で、宥めるのに時間が掛かる。楓は昨日何かあったっけ、と首をかしげると、大将、と短刀代表の1人の薬研が手を挙げた。

「?何かあった?」
「昨日は出陣したぜ。一昨日は休養日になったしな」

ああ、そうだ。明石国行はかくれんぼが上手なようだが、そろそろ見つけだしてもいいと思う、と考えていた。

「それで、国広が目を覚まさないのは、何が原因なんだろう……うーん」

皆で考えても答えは出ず、自室に入る。と、こんのすけがいた。

「審神者様、山姥切国広が目を覚まさないのは、霊力の急激な減少では?」

と、言ってきたこんのすけに眉を潜める。別に、私からしたらいつものことで、手入れの時は過不足なく、霊力を分け与えてる。しかも、昨日は手入れをすることもなかったんだ。

「審神者様はお気づきになられにくいかと思いますが……出陣ゲートを繋ぐこと、刀剣男士を過去へ飛ばすこと、それには多大な霊力を使用しているのです。その御体になり、体が軽いと思いませんでしたか?」
「うーん……体を動かしてないけど、いつもの疲労感は無い気が」
「審神者様!その疲労感が霊力減少によって起こりうる現象です!」
「……それが国広に何をしてるの?」
「神である刀剣男士の体は霊力で満ちているのです。それが、審神者様の体ではごっそり無くなって行きます。傷を負うよりも苦しいことかと思われますが」

即ち、いつもある力が無いと同じで、それは神としては体にはよくないということだ。
どうすれば治るのかと聞けば、霊力の補完を……と目をそらしているような声で言う。

「んー…………。あ、体液の交換!」
「そのように大きな声で言わなくても!」

破廉恥です!と声を上げるのを右から左に流しながら、体液……体液……と考える。血を飲ますのが一番いいが、この体は山姥切国広の体、傷つけるのは嫌なのだ。

「体液って、血液の他に何があったっけ?」
「汗や、唾液、……せ……これ以上は言いませんよ!?」
「せ?まあ、いいか。唾液……なら!」

と、何の躊躇いも無く、自らキスをした。目に写るのが、自分であるため、目を瞑る。一応、想いの人とのキスであるが、望むことができないため、これはチャンスだと思ったのだろう。この想いを伝える気はないし、一生このままなのだろう。ならば一度だけでも想い人とキスがしたかった。これで、満足。そう思いながら、キスをしていくと、視界がブラックアウトした。

そして、楓は重い、と目が覚める。体に乗ってるのは、山姥切国広だ。首にスースーと寝ている国広に笑みが零れる。

「よかった……戻った……」

そうして、再び目を閉じた。

その後、審神者の部屋に入った長谷部が思わず、刀身を抜いたとか抜かなかったとか……。

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