焔の光 | ナノ
歩幅の違い

「…………」
「………馬鹿じゃないの?」
「…………」
「……聞いてる?大我」
「…………負けた」
「ええ、そうね。大我じゃまだ届かなかった」
「…………」

昨日、大我は青峰君のいる桐皇に負けた。
悪かった膝も更に悪化した。大我の自業自得もあるけど、仕方ないことだ。体のできていない、大我にはまだ覚醒は早い。

「………はぁ。何度、お説教をお預け食らってると思ってるのよ。ったく、私とやる相手は誰がいるって言うのよ」
「青峰がいるだろうが」
「何言ってんだか。誰があんなアホとやるかっての。私はバスケ馬鹿とやりたいのよ」
「誰が馬鹿だ!誰が!」
「自覚しなさいよ、バカ大我。誠凛に入れたのもほぼ帰国子女なのと気合なんだし……」
「うぐっ」

明らかに落ち込む大我を見て、笑いが込み上げる。
「笑うなよ………」
「ちなみに、他のキセキは青峰君より違う意味で強いわよ。それに、腐ってる暇があるなら、はい」

そう言って、ボールを渡す。ボールを見て驚く大我は、まだ知らないらしい。

「ちなみに今日から左手でご飯をを食べること。左手も器用にしとけばいいことあるから」

意味がわからないと顔が語っているが、そればかりは仕方ない。後はカントクさんがやることだし。

「アネキ……?どこに行くんだよ」
「大我について帰ってきたし今日の晩ご飯が無いの。大我の膝を直すためにも、とにかく食べること!って言いたいけど、大我にこれ以上食べられると困るから、今日はバイキング行こうか」
「いいのか!アネキ」
「明日からストレッチと出来る限りの筋トレするならね」
「ん、じゃあ、行こうぜ」

軽く服を着替えて、ファミレスに向かう。
今は膝の調子がいいのか、ただバイキングが楽しみなのか、隣を歩いていたのに、大我はもう、先を行っている。

「アネキ……!」
「大我、走らないの」
「隣見たら、アネキいねぇしビックリした」
「歩幅が違うんだから、仕方ないでしょ」
「……すまねえ」
「いいっていいって、ほら、ゆっくりいこ。大我の膝も労ってあげないと」
「おう」

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