焔の光 | ナノ
強さに飢えた野獣

大我のお父さんに貰った合鍵を使って、部屋に入る。大我にこのことは内緒。どんな反応をするのか楽しみだ。

ドアが開く音がして、出迎えずに月バスを読む。

「……っ……」

若干びびりながら、ドアを開ける。大我が可愛い。

「おかえり、大我」
「アネキ!?なんで!」

頼まれたことを言って、大我を納得させる。
腑に落ちないだろうけど、大我の両親に言われたことだし。

「アネキはそれでいいのかよ」
「別に……。とりあえず、料理できないから、大我がいるからよかった!」
「それが目的だろ!クソアネキ!」
「てへっ」
「ああ、もう!居候すんなら他の家事しろよな!」
「後、料理、教えてね」
「……わかったよ」

そう言った大我。ドサッとエナメルを落とす。
……あれ。大我……。

「部活は?」
「っ……やめた」
「バスケ?」
「……ああ、そうだよ。この程度なんだって、失望した」
「………そう」
「アネキ?」
「じゃあ、私とアメリカといたときと変わらず、ストバスで1on1しよっか」
「っああ!」

大我は分かりやすいなぁ。それに正直だ。うん、可愛い。

「そうと決まれば、やろうぜ!バスケ」
「大我は元気だね。じゃあ、行こっか」
「おう!」

軽く着替えてから、ストバスに向かって、大我を瞬殺。それでも、まだまだ!という大我を止めて、止められ、入れられ、入れて。気がつけば、空が暗く染まっていて。

やめようか、と言えば、珍しく、うんって聞こえた。
そのあとに「アネキは強いな」そういって、差し出した手を取って、立ち上がる。

「ううん、大我も同じ舞台に出られるよ。私と同等の能力を持つプレイヤーとやれる」
「そうなのか!?いつやれる!?」
「大我が部活やめちゃったし、高校からだね」
「うっ……」
「私も来年度から高校に入学するけど、大我が入るまでは大我に構ってあげるから」
「いらねぇよ!」
「素直じゃないなぁ」

そう話ながら、帰り道を歩く。
大我は強いプレイヤーと戦いたいバスケバカ。
大我は恐らく彼らと並ぶ天才。
虹村に色々聞かないとね、事情。
バスケへの熱を引かせるわけにはいかない。大我には、彼らと違う道を歩ませる。

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