ネタ供養と名前変換なし(小説) | ナノ
転生トラック、のちイタリア語

本屋にあった新刊をまとめ買いして、機嫌良く、家に帰ろうと、信号を待つ。ボーッとしていた、だから気づいたのは、トラックに撥ね飛ばされたところで、ガンっと縁に頭を打ち付けて、意識が飛んだ。

気づいたらそこは病院だった。起き上がれもせず、じたばたしていたら、声が、あう、と出た。待って。

「――――」

やべぇ、何語だよ。明らか日本語じゃなかった。でも、これ、明らかに、転生したよね。


後さ、これさ。なんでなの。

「はーい、カエデ、おじいちゃんだぞー!」
「ノンノ!」

あ、ノンノ、とは祖父です。そしてこのノンノ、シーザーに見えます。そう、あのシーザー・A・ツェペリです。祖父、というよりお父さんと変わらない。そして、気づきました。名字が汐華だそうです。え、まじで?と思ってたらですね、スタンドが見えます。これはもうダメです。原作クラッシャーしろと言われている!とにかく義務教育まではイタリアに滞在していたわけですが、小学校は日本に行こう。だそうで。泣いてるノンノに手を降っておいた。あ、イタリアのヴェネチア、エア・サプレーナ島でした。気づきたくなかった。

日本に帰国?して、スタンドと遊んでいたら、孤立した。ワロエナイ。それとお父さんが剣術の師範でした。これもワロエナイ。だって、剣道じゃない、剣術なんです。竹刀ではなく、木刀で指南された、容赦ない。いや、温厚な性格なんだけど、師範になったときの性格の変わりように、びびりました。ええ。小学校は一人ぼっちです。仕方ないから、英語とアラビア語について学んでおく。ついでに死にたくないから、波紋法についてもノンノにさらっと聞いてみようと思いました。

その日は小学校4年の夏休みで宿題も終わり、部屋でゆっくりしていた。お父さんは刀鍛冶でもあったらしく、生まれた記念にと贈られた短刀を見る。刀に関しての知識はそこまでないけど、曇りない綺麗な刀だった。

「楓」
「お父……さん?」

短刀から目を離して父を見ると、口から血が出ていた。

「楓、君はいい子だ」
「お父さん、口から血が」
「いいんだ。楓、これをお前に」

刀を渡されて戸惑っていると、父が倒れた。それでも影があった。

「あ……」
「チッ子どもがいたか。仕方ねぇ、殺すか」
「!」

振り下ろされた包丁が、右肩に刺さる。痛いイタいいたい、脳に響く。それでも、生きなきゃ。左手に持っていた短刀を男に突き立てた。ぐらりと倒れていく男から短刀を引き抜く。

それから、気づけば、病院にいて、ノンノがいた。父方の祖父母は既に亡くなっていて、ノンナ、シーザーの奥さん、祖母も亡くなっていて、イタリアに行こう、と言ったノンノの手を取った。

イタリアの義務教育は、初等部5年間、しかも、新学期は秋から。よって、初等部4年です。二度目。エア・サプレーナ島はあれなので、ヴェネチアで買い物をして、島に戻ろうとしたら、(この後ノンノに説明されたが)屍生人、ゾンビに襲われたわけで。スタンド『風鳥』の力で隠していた日本刀で、居合い切りです。確か、弱点は頭部だった。ととりあえず、首切って、荷物を持って、急いで路地から出た。

ノンノに言ったら、そりゃまあ、怒られて、波紋を学ぶことになりました。この島もSPW財団持ちなんだって、凄い。

波紋を学びながら、学校に行って、夏休み、というか1年立ちました。と、日本に戻って、お線香焚きたい。と思いつつ、地獄昇柱に落とされました。なんとか登ってノンノのスパルタ!嫌い!!って言っておいた。しぬかとおもった。

そんなことを言って、島から出たら、散策してたら、森に迷い込んで、アリアさんとユニちゃん(赤ん坊)に会いました。とてもとても綺麗でした。

それから、中学生2年の終業式を終えた夏休み。波紋を纏わせてゾンビを倒したりしてお駄賃を貰ってたら、ノンノにバレて怒られた。ジャッポーネは平和だから行ってこいと言われた。ゾンビはノンノに任せろらしい。しかしながら、手配を頼んだのがSPW財団である。ジャッポーネに行くなら、とお仕事の依頼受けました。ノンノ聞いたら多分怒るね、と思いつつ、お受けしました。ほんと、どういう世界なんだろね、と思いながら、依頼書をシュレッダーに入れた。

イタリアで中3だったのに、日本では2年生です。なんだろ、悲しい。と、まあ、依頼に乗っ取って行くとありがたいんですけど。

転校先の学校ですが、早速学校で問題になっていて中々馴染めません。辛いな、ひまだなー、と思って、町を歩いていたら、ストーキングをしている緑の学ランを纏ったひょろい何か。……うーん、見捨てる気はないなぁ、と言うことで、見えない刀で路地裏へ殴り飛ばす。なーんか、暴れたりない。と女の子の敵、とぼこぼこにしておいた。

次の日、ぼけーと空を見ていたら、視線を感じたので、見れば、あれは多分、獄寺くんだったか。あ、目をそらされた。

SPW財団とノンノが与えた家だが、ひろいです。そういえば、ノンノってブランド立ち上げてたなー、と遠い目をした。道場を作ってくれたので許すわ。

「え、っと汐華さん」
「……あ、はい」

イタリアでジョバァーナって名乗ってたから、違和感が拭えなかった。

「俺、沢田綱吉っていいます」
「よろしく」
「うん、よろしく。で、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「うん?」
「一昨日、緑の学ランを着たひょろい男を殴り飛ばしたり、してないよね」

ハハ、ごめん、気にしないで。そういうボンゴレのボスである。調査対象なので、話すに越したことはない。というかほんとどういう世界線なんだ、と思いつつ、話す。私、JOJOもREBORNもジャンプを読んでただけなので、もう、ほとんど覚えてないんだよなー。

「?ストーカーしてたから(武器で)殴り飛ばしたよ」
「…………え」
「10代目、そいつになんで話し掛けてるんですか」
「いや、リボーンに確認を取れって言われて」
「あの、図書室に行っても」
「あ、ごめん、行っていいよ!」

マフィアには巻き込まれたくな……い…………な……って、アリアさんとユニちゃん………………ジッリョネロファミリーじゃん。しかも、短命を運命付けられた。本を読みながら頭痛をやわらげようとした。

「お前が、汐華楓か」
「赤ん坊がしゃべった……」

と一応言ってみた。

「SPW財団関係者だろ、知ってるぞ」
「そうですけど、何の用で」
「ここに来た理由は」
「祖父による可愛い子には旅をさせよ、です」
「それ以外は」
「特には」
「答えろ」

そう言って、銃を向けられて、『風鳥』を心の中で呼んだ。

「そもそも関係者といっても、私はアルバイト気分で書類整理するだけで、石油会社の派生でできた財団ぐらいですよ、知っているのは」

後、ジョースター家と何故かツェペリ家支援が凄い財団ぐらい。あんな家建てやがって、です。

答えに不満なんだろう、銃をしまってもらえない。……仕方がないかな。

「私はただ、喧嘩が強いだけ。貧民街で暴れてた時期があっただけですよ」
「…………」
「リボーン、見つけたぞ!……って、汐華さんに何してるんだ、リボーン!」
「撃ちたいならどうぞ、死ぬ気はないし、私はただ日本に来たんです」

挑発に乗らないと思ったら乗られた。撃たれた銃弾を『風鳥』が止めた。ポトン、と弾が落ちた。

「……はぁ。では」

家に帰って、報告書を書く。風鳥に手紙を渡して、財団に便りを出した。


「あ、ノンノからだ」

数日経って、ポストを見れば、ノンノからの手紙が入っていた。見る限り、これはどう見てもとてつもなく心配してる。ため息を吐いて、返事を書いて、郵便ポストに突っ込んだ。

「あ、楓ちゃん!」
「あ、京子ちゃん、おはよう。お出かけ?」
「うん、ツナくんたちと。楓ちゃんも行かない?」
「迷惑だと思うから、いいよ。今度、ケーキ屋さん行こ?」
「うん!じゃあね、楓ちゃん」

友達になった京子ちゃんだった。家に帰って、冷蔵庫を開けて、崩れ落ちた。何も……ない。商店街行くかーと、腰に刀を差して、財布を持って、家を出た。

まとめ買いした。荷物重い……と思ったら『風鳥』が風で重さを持ってくれてずいぶん楽だ。

「あれ、楓ちゃん!またあったね」
「商店街で遊んでいたんだ。私は買いだめ」
「そういえば、一人暮らしなんだっけ」
「そうだよ。じゃあね、京子ちゃん」

家に帰って荷物を片付け、ゆっくりしていたとき、パトカーが家の前を通りすぎた。


「えっと」
「すみません、楓様」
「様はやめてください……」
「いえ、しかし……」
「で、説明を」
「日本にいるボス候補が有力ではあったのですが、XANXUSがボスの証である」
「簡潔的に」
「ボスの座を争う戦いが始まりますので、ボス候補及び、幹部の詳細と監視を」
「…………わかりました」

時間と日時は追って、連絡しますので。と言って、帰っていった財団の人に渡された依頼書を丁寧にシュレッダーに掛けた。


ボンゴレボス候補とクラスメート2名が休みになったのは、そういうことらしい。そわそわしている京子ちゃんの相談にのって、ため息を吐く。こんな女の子を心配させるなんて、罪なお兄さんだ。大丈夫だよ、そう言って、頭を撫でた。

いや、でも、ほんと、どうしてこうなった。まだ人殺しはしていないんです。ゾンビは除く。ゾンビ、ストレス発散にいい相手です。とか思いながら、いるのは、学校の屋上だ。『風鳥』に刀を隠す原理を応用して、私にかけている。今の格好は、ノンノに波紋法修得祝いに渡された、波紋を伝導しやすいマフラーに黒スーツ、スカートの下は動けるようにレギンスだ。短刀、ナイフはしっかり仕込みに仕込んでいる。沢田くんたちの相手は暗殺部隊。それはもう、ほら、念入りに準備をしといて損はない。

「お兄ちゃん!」

京子ちゃんだった。膝を折っていた男の人をお兄ちゃんと言った。どうなってこんな女の子が生まれたのかが知りたいわ。あ、私も言えないかも。清純な父とほんわかした母の子なんてそんなですし、おすし。どっちかと言うとノンノに似てしまったすまない。あ、終わった。と思ったら、機械が負けた相手を売った。負けた者には死を。こんな下らないことで殺される方が迷惑だ。

「そう言えば、さっきからそこに隠れてるのは誰さ」
「え!?」
「…………出てこい。気配の消し方もわかんねぇ甘ちゃんよぉ」

あ、見つかったらしい。別に気配なんて消さなくても、私の敵は死んでくれるし、と思って、風鳥に掴まって家に帰った。

なんて、あって、最終日、SPW財団からの報告で、この並盛にゾンビがいるらしい。殲滅よろしく、という報告を受けて、ノリノリである。イタリアにいたときは、ゾンビを倒さなくても、ノンノに楽しそうにしごかれたし、死ぬ。

この戦いを見たら八つ当たりです。私にも暴れさせろ!以上です。

長かったようで、短かった戦いが終わり、皆、そこに集められる。どっちのボスも眠ってしまい(気絶?)、帰ろうとしたところで、姿を現した。

「!」
「てめぇ、汐華か!どうしてここに」
「SPW財団エージェント代行の汐華楓です。夜分遅くで敵同士であられますが、一つに固まっていただけないでしょうか」
「理由を教えろ」
「それは簡単です。夜は屍生人(ゾンビ)の活発な時間ですから、それと、この町で、ゾンビが現れたからです。バラバラになられると面倒じゃないですか。ほら来た」

刀を引き抜く。大丈夫、体には溜まってる。服を擦って、シャボン玉を作り出して、撃っていく。狙え顔面。をモットーをやっております。波紋を纏わせて、刀で切っていく。全く、父の打った刀が優秀過ぎて泣きそう。ついでに。

「私の精神テンションは今!貧民街にいた時に戻ってる!」

うららら!ともう、これは、本当に楽しい。


「ふう、終わった。帰っていいよ」
「帰っていいって、それ」
「ああ、どうせ太陽に当たったなら灰になるし、気にすることじゃあない」

校門前にSPWと書かれた車が止まる。出てきたのは、ジョセフさんだ。

「oh……よくやったな、カエデ」
「ジョセフさんが来てるなんてびっくりなんですけど」

※英語のやり取りです。
なんて注釈を入れながら、財団の人も出てくる。

「楓様が全部やられたのですか!」
「様付けしないで……」
「(※)はは、カエデはシーザーの孫だから仕方がないじゃろ」
「(※)それでも嫌なんですよ、様付けなんてそんな大層な」
「それで、こちらの方々は」
「あ、後処理なので、ほんと帰ってください。企業秘密ってところです」

ぞろぞろと帰っていくのを見送って、雲雀さんからトンファーを投げられたので、弾き返しておいた。

「こんだけの量なんで、太陽に当てるのがいいかな、とは思ってたんですけど」
「いいや、ワシに任せよ」

そう言って、波紋を流して、残った死体を灰にしていく。家に帰ろうとしたら、SPW財団の人に送られ、ジョセフさんが家に泊まった。

「カエデ、無理はしていないな!?」
「ノンノ、じさかんがえて」

こちとら日が跨ぐ頃に家に帰って、報告書書き終わって、『風鳥』を飛ばして、風呂に入って、やっと睡眠をとろうとした時間ですから。

「説教また今度受けるから、Buona notte(おやすみ)」
「Buona notte」

スヤァとした。


次の日。依頼続行。その言葉を見て項垂れた。ジョセフさんには、慰められた。まだ、イタリアには帰らせてくれないらしい。

アメリカに帰るジョセフさんを見送って、口を尖らせる。イタリアに帰りたかった、と、昨日大量消費した石鹸水の材料を持って、家に帰る。なんだかんだ、生まれ変わった私は、日本の平和な空気で落ち着くことはないらしい。

カチ、その音が聞こえた後、場所が変わっていた。理解ができません。

「……マードレ、ですか?」
「」

キョロキョロと部屋を見渡していたら、ドアから現れた黒髪に息を飲んだ。そうじゃん、そうじゃないか、彼は。

「えっと、ここがどこだかわかるかい、少年」

でも、きっと、知っていたらダメなことだから、初対面とする。

「どこって……隠れ家でしょう、マードレ。マードレ、どうかしてしまいましたか」

少し様子がおかしいです。という彼に、困ったように笑いかける。

「私、外にいたのに、気づいたらここにいたの。ごめんね、突然押し掛けて」
「マードレ!……マードレ、どうしちゃったんですか。ぼくのこと、覚えてないんですか」
「ごめんね、マードレってどうして呼ばれてるかわからないの。まだ、私、14歳だから」
「じゅうよんさい」

驚く彼は、混乱しながらも事を理解したようで、私を抱き締める。

「えっと」
「10年前のマードレでも、マードレはマードレです。ぼくはジョルノ・ジョバァーナ。あ、汐華初流乃っていう本名なんですけど、イタリアだからって、マードレが付けてくれたんです」
「È fantastico(びっくりだわ)」
「後、マードレ。マードレは今狙われてるらしく、ここは隠れ家なんです」
「何、私、危ない仕事してるの」
「なんか、フリーランスで色々やってるとは」
「うーん……。ジョルノくんは」
「呼び捨てでお願いします、マードレ」
「ジョルノはこんな親でよかったの?」
「ぼくはマードレに拾ってもらったので、特に不満は」
「そうなんだ、ならよかった」

よかった、DIOに襲われてなかった。

「こんな息子がいるなんて私は嬉しいよ」
「マードレはいつもそう言って、ぼくを甘やかすんです。10年前でも変わらないんですね」

笑顔が眩しいよ、ジョルノ。

「私のノンノに会ったことはある?」
「シーザーですか」
「呼び捨て、いやそうだけど」
「マードレが仕事のとき、シーザーかンドゥールに預けられていたので」
「……え」

ンドゥールってあれ、悪には悪の救世主が以下略の人だろ。

「あ、まだ会ったことはありませんか?目が見えていないんですけど、ゲブ神とかいう水のスタンドを使いこなしているんですよ」
「へー」

へ、へー、そういや貧民出身だっけ、あれだったら10年前に戻ったら見つけてみよう。

「とりあえず、エア・サプレーナ島に行くよ。危ないなら、ジョルノはシーザーに預ける。ごめんね、今の私に子どもを守れる力があるとは思えないから」
「…………10年前の姿のマードレは、エア・サプレーナ島にぼくを置いてどうするんですか」
「帰る方法を探すよ。大丈夫、ジョルノは絶対に見つけ出す。だから、エア・サプレーナ島に行こ」
「マードレ、約束です。ぼく、マードレのこと愛してます」
「きっと10年後の私も、貴方のことを愛してるよ」

手を取って、ジョルノの額にキスをする。

「『風鳥』」

ジョルノを抱っこして、『風鳥』に風を纏わせてもらう。

「ちゃんと掴まってて」
「慣れてますよ、マードレと一緒に飛ぶの」
「そう、じゃあ、容赦なく」

『風鳥』に掴まってて、窓から飛び立つ。といってもどこだここ。

「ここは――ですよ」
「助かったよ。出てきたはいいけど、ってなりそうだったし」

エア・サプレーナ島を見つけて、飛び降りた。

「カエデ!……!?」
「相変わらず、お若いようで」
「なんか若返っていないか!」
「そりゃ10年前のマードレですから」
「スタンドの攻撃か!?」
「いやー、それがよくわからなくて、カチって音が聞こえて、ジョルノにあったんだよ」
「そう言えば10年前どこにいたんですか、マードレ」
「んー、日本の並盛。なんか、ボンゴレボス候補の詳細を教えろっていう財団からの依頼で」
「…………カエデ、原因はそこだ」
「原因」
「今ミルフィオーレによるボンゴレ狩りなるものが行われている。対象はここ10年ボンゴレファミリーに関わった者たち」
「ボンゴレファミリーになんて入った記憶なんざありません」
「いれた記憶もねぇよ」

ノンノに見つかって、奥の部屋で話す。ジョルノはベッタリだが、許す。

「カエデ、SPW財団は裏でボンゴレと組んでいる。どうせ、狙われることになる。でも、まあ、曾孫のことは任せろ。しっかり守ってやるよ」
「……うん。死なないでね、ノンノ」
「大丈夫ですよ、ここにはンドゥールもいますし、ンドゥールのスタンドは水なんです。海に囲まれたここならきっと大丈夫です。マードレは敵をぶっ飛ばして、ぼくを拾ってください」
「うん、行ってくるね」
「金は積んどく。好きに使え」
「わーい、ノンノふっとぱらー」
「無事ならそれでいいんだ」
「うん」

日本に経ちます。

アジトへの道のりを読み込んで、切り刻んだわけですが、やべぇ、10年でこんなに変わるとは思わないよ、と言わせてください。風と同化して、歩くのは中々疲れる。と思いつつ並盛神社に着いた。神社が10年で無くなるとかはやめてほしかった。よかったよ。境内に上がると、黒スーツの黒髪の男の人が金髪の黒い格好をした男の人を殴り飛ばした。んー……なんか見たことあるな黒髪の男の人を。

「君は汐華楓かい?」
「はい、そうです。10年後の私を知っていますか」
「……まあね。沢田綱吉はそこにいるよ」
「え」
「あれ、汐華さん!?」
「あ、沢田くんか。よくまあ、面倒事に巻き込んでくれたようで」
「……ああ、君も僕と似たようなものだったね」

そんなこんなで、日本刀使えるから、と山本くんと手合わせをしてみたり。しかしながら、私の刀は、剣道ではなく剣術である。

「つっえー」
「ただ、山本くんとはやってるものが違うところからだし」
「ああ、そうだな。山本は剣道だが、汐華は剣術だ」
「?何が違うんだ」
「剣道は護身術、剣術は殺す術。目的が違うし、私の場合は」
「稽古から数年経って、我流になっちまった。しっかり、あのゾンビどもを殺すためのな」
「そういうことです。師範に最後につけてもらったのが、5年前なもので」
「ゾンビは頭部を破壊できれば死ぬ。だから汐華はよく頭を狙う。そうだな?」
「正解です。別の方法でも倒せるんですけど、あれは他にも使い勝手があって」

波紋の説明は面倒なので、省略する。

そんなこんなで1週間経ち、なんか敵の襲撃に応対するから、お前も来い、と10年後の姿の雲雀さんに拉致られ、目の前には敵が沢山。

「あ、これを使った方がいい」
「え」

応対しろと言われたので、愛刀を引き抜こうとしたら、雲雀さんから日本刀をもらった。どうやら、10年後の私が使っていた刀らしい。見れば、逆刃刀である。剣心かよ。一応、人は殺さない信条なので、ありがたく使わせてもらう。え、逆刃刀でパイナップルが切れた?ははは、手加減できるかな(白目)

「さあ、始めようか」

雲雀さんの顔が恐ろしかったです。

多勢に無勢という言葉を知っていたが、その言葉の対義語はなんなのだろうね、殺しちゃいませんが、生きてもいません。深夜に叩き起こされたから眠い。と思って、寝た筈なんですけどね。沢田くん達が過去に帰るために目的の敵にあったら、実はその人は味方で本当の敵は以下略らしい。勘弁して。

「Non ha nulla a che fare con me.」
「え!?」
「私には関係ないって……ことはないだろ」
「そもそもだよ、私がここに来たのは、原因はボンゴレだから、そっちで帰らせてもらえだってのに」
「あぁん!?」
「でも、汐華さんが言うのも仕方ないよ……。京子ちゃんとは仲良くても俺たちとはあんまり話してないし」
「それに息子がボンゴレ狩りに巻き込まれる理由を求めるよ、ほんと」
「!?」
「……会ったのか」
「ここに来たときの潜伏先で。聡明な子だったよ」

びっくりした目で見られるが、子どもがいても別にいいでしょう。早かったらこの年(24歳)でいる。ましてや、拾った養子です。何歳でも問題はない。

そして、また2週間が経ち、黒スーツに着せられた。雲雀さんや山本くんはいないが決戦らしい。……それにしても、この逆刃刀、愛刀、父が打った刀と、作風が同じように感じる。まあ、そこまで、刀には詳しくないんだけども。

チョイス、というゲームを元にした、戦いをするらしい。こちらが指定されたのは、大空、嵐、雨、無属性というか指輪を持っていない人間3名。

「無属性、後一人は」
「…………私が出るよ」
「え、いいのかい?」
「ダメだよ、楓。戦いなんだよ!」
「……私には、戦いの心得があるし。京子ちゃんが出る方がよっぽど危ないからね」

という訳で、観覧席の方へ行ったみんなを見届けてから、入江正一の作戦を聞きながら、マフラーを巻いて、短刀を仕込んで、愛刀はベルトに固定、逆刃刀は左手に持つ。

「えっと、汐華さんでいいんだね」
「はい。なんでしょう」
「君を戦力として加えてもいいのかい」
「ご自由に、炎という概念は理解出来ませんが」
「まあ、剣の腕は俺が保証するぜ。単純に強いぜ、こいつ」
「後、バイクの運転は」
「なるほど、沢田くん達がやっていたのはバイクの練習でしたか、免許は知りませんが乗れます」

大体は貧民街で盗んだバイクで走り出すーを実行しただけ。流石にノンノに怒られた。

「……大概、お前もやんちゃしてるよな」
「家出して貧民街で頂点に立っただけですよ。ノンノが私を地獄昇柱に何の断りもなく投げ入れたのが問題でしょ」
「地獄昇柱?」
「油まみれの24mの塔を登りきる。登らなければ死ぬ柱」
「ひっ」
「流石に、中等部に入る前の夏休みに投げ入れられたものだから」
「……すげえな」
「こほん、汐華さん、すまないが、戦力に入れさせてもらうね」

どうやら、私は獄寺くんと防衛を担当らしい。不満らしい。

「……別に、10年前に戻れたら文句はない」
「…………ちっ、なんでこんないけすかねぇ野郎と」
「……仕事はきっちりします。文句があるなら、完璧に守りきればいいのでしょう。私のモットーはAttacco è la miglior difesa(攻撃は最大の防御)ですからね」

『風鳥』の視界を借りながら、敵を追う。

……そろそろ来る。逆刃刀を抜く態勢で待つ。無線から指示が飛んでいる。

「目視で爆発を確認」
「来るぞ!」

出会い頭30秒で戦力を削ぎ落とされた獄寺くんに対して、桔梗とかいう名前の敵の足止めである。

「ハハン、炎も使えない一般人に延々と足止めされるつもりはありませんよ」
「『風鳥』!」
「風を操った、だと」
「穏便には済ませてくれないらしい。上手く出来るかはわからないし、人間に通用するか知らないけど、まあ、即興で仕込んで、どこまで足止めになるか。でも、まあ。Fare il meglio.(やるからにはベストを)」
「!?」

『風鳥』で隠した波紋を込めたシャボン玉が桔梗に当たり、傷が出来る。鎌鼬のようなものだろう。

「貴方を相手するのは得策ではありませんね。私の目的は入江正一ですから」
「逃がすか!」

炎を周りに展開して飛ぶ桔梗にはシャボン玉はもう効かない。

「おい、汐華、待て!」
「このゲームで私達がすることは入江正一のターゲットマーカーを死守することでしょう。足止めして、その間に山本くんや沢田くんが相手のターゲットマーカーを壊したらいいんです。だから、桔梗は逃げる。戦える武器だけで相手をするなんて、できたら最高ですけど、最悪の事態を考えないほど、私は甘くないです。バイク借ります」
「おい!くそ」

獄寺くんのバイクを乗ってアジトの方へ向かう。風鳥で姿を消し、アジトに一直線だ。アジトに入って、現状を把握する。

結論を言うと、同タイミングでマーカーを破壊したが、相手が息を吹き返したらしい。一方入江さんは意識も混濁している。波紋で生命エネルギーを応急処置程度に流しておく。

「これ、お前がやったのか」
「皆が仙道、とかいう技術です。炎とはわかりませんが、生命エネルギーを扱う技術で、それを流しているので応急手当程度なので」

流しすぎたら死ぬもの。高祖父、ジョナサンに流しまくって、死んだし。

「やっぱり凄いよ、楓ちゃん」
「白蘭」
「警戒しなくていいよ」
「しない人間がどこにいると」
「いいのかい、エア・サプレーナ島に今すぐ攻め行ってもいいんだよ」
「…………ド外道ですか。どうぞ、ご自由に、落とせるものなら落としてみろ」
「ちょっ!?」

そう言って中指を立てたら、沢田くんがうるさい。

「いいのか」
「ええ、ノンノはマフィアやそこらとは違いますが、一般人でもないですからエア・サプレーナ島の住民のほとんどは、そういう人間なので」
「へえ、いいこと聞いたね。なら、誰でも良さそうだ」
「……まあ、入ることが出来ればいいですね。彼はそんなに弱くは無いもので」

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