ネタ供養と名前変換なし(小説) | ナノ
花京院の従妹が色々あって、暗殺チームにいる話。

黒雲楓
3部/5部 11歳/24歳
先天性のスタンド使い。花京院の母と楓の父が兄妹だった。黒雲家の血筋から赤髪。事故で父を亡くし(7歳)、イタリア人の養父と母が再婚(9歳)。母が病気で死に(10歳)、養父が初流乃の母と再婚(12歳)。養父からDVは受けるし、養母は初流乃を育児放棄したため、初流乃の面倒を見る。酒に溺れ養父が死に、養母が家出をしたため、仕事をしながら、副業を探す(17歳)。チンピラに襲われる際、スタンドが暴走。能力を見込んだ暗殺チームのリーダーに拾われる(19歳)。仕事を辞め、中学の寮に初流乃を入れ、リゾット指導の元、暗殺業を生業とする。

スタンド→ブラッドバレット
メタリカ同様、本体の体内にスタンドがある。メタリカと違い、血にしか作用しない。『血の弾丸』とは言うものの、血液を固めた血石を利用することで、怪我の回復や出血を押さえることも可能。刃が出る仕掛けの付いた指輪で、指を傷つけ、攻撃することも可能だが、貧血になるので、通常は輸血パックの血を固めて、BB弾のサイズにして、エアガンに装填している。

黒雲の一族の血なのか、頭がよく周り、スタンドを持つ結果や養父からのDVから、基本人間不信の結果、情報チームから得た情報の吟味をしていった結果、情報屋としても優秀になりました。ソルベとジェラートが犠牲になるかわりに前リーダーが見せしめでした。情報チームの人間によって、反旗を翻そうと誘導されていることに気付き、情報チームの人間を暗殺。ソルベとジェラートに釘を刺しつつ、反旗を翻すタイミングを見計らっていた。

初流乃がギャングになったと知り震える5部。ボスが確実にトリッシュを殺すためのチームに入ったと知り、また震える。護衛チームに差出人不明のまま、情報を流して、ちまちまと。リゾットは私の従兄みたいと、雛鳥のようについていきます。ジョルノに見つかり、カエデ!と抱き締められて、暗殺チームの地位向上と報酬の分け前を増やせとボスになったジョルノに要請したり。幹部クラスになった暗殺チームとほのぼの。

「承太郎、ポルナレフから連絡が来たよ」
「『矢』、だったか」
「ああ、そちらで確保したらしい。ジョルノ・ジョバァーナがパッショーネのボスになったらしい」
「……ポルナレフに伝えなくてよかったな」
「ああ、DIOの息子なんて知れば、どうなっていたか」
「殺し合いに発展するところまでは見えたな」
「で、そのままパッショーネのNo.2になってしまったから、こっちと手を組まないか、だって」
「…………麻薬の密売が純利益じゃあなかったか」
「ジョルノ・ジョバァーナがパッショーネに入った理由、ポルナレフが言っていたが、麻薬の密売を禁止するため、らしいよ。それにポルナレフがパッショーネを追っていた理由も麻薬、だろう?」
「こっちからしてもスタンド使いの把握が出来るしな。問題はないな」
「ああ、また連絡をいれることにするよ。近々イタリアに飛ぶよ」
「……ああ。で、お前は何を調べてる。花京院」
「所在不明の従妹さ。子どもの頃に妹のように可愛がっていたんだが、伯父さんが亡くなって、再婚するからと言って、イタリアに行くって聞いたことを思い出してね」
「……お前が妹のように気にかけるなんざ……まさか」
「スタンド使いではないんだ。でも、スタンドは見えていた。何かがきっかけで発現している可能性があると思ってね。ただ」
「見つからねぇのか」
「うん、財団の情報網を一般人がすり抜けるわけがないから……何かに巻き込まれているかもしれない」
「康一君にコンタクトを取ってもらったが、イタリアには俺も行こう」
「君、忙しいんじゃあなかったのかい、博士」
「てめぇの方が忙しいんじゃあないのか、次期総帥」
「………………やっぱり、5年前を境に何一つ足がついていない」
「……名前は」
「黒雲楓。探してくれるのかい?」
「……ああ」
「それなら、僕の5つ年下で、僕より明るい髪をしていて、目も赤い。色は完全に、日本人離れしているね」
「お前もな」

「くしゅん!」
「風邪ですか?」
「大丈夫だよ、初流乃。でね、なんで私、本部に呼び出されたのか聞いてもいい?」
「二人きりじゃないと初流乃って呼んでくれないじゃないですか。それに、中学に入ってから今まで会えなかった分の充電です」

ぎゅーっと抱き締められる。染めたわけでもなく、気づいたら金髪に染まっていたという髪に触れて、背中に降ろしていく。

「初流乃を養うために必要だったの。ごめんね」
「……全部、僕のため、だったんですよね」
「……全部、とは言い切れないなぁ。利用価値がなければ殺されていたはずだし。自己防衛のため、でもある。お給金をもらって、初流乃の授業料とか生活費を流すのは、凄く説得したけど」
「これからは、楓に守ってもらった分、守りますから、目の届く範囲にいてください」
「お仕事取らないでね。私、暗殺チームの皆と一緒にいたいから」
「……楓のスタンドは殺し向きですし、わかってます。でも、暗殺チームには暗殺業だけではなく、見回りとかもしてもらいますからね」
「チーム念願のシマも手に入れて、1:9ではなく4:1の分け前にもなったからね。皆も仕事をしてくれるよ。相応の報酬があるしね」

そう言う楓に、初流乃はそうですね、と相槌を打つ。少し経って、初流乃は楓の首に顔を埋める。

「楓」
「初流乃?私、何か心配事、言った?」

癖、だった。心配事や怖い事、初流乃にも自覚はあったが、止められない。

「また今度、SPW財団の人と会合があるんです。そこに、僕と同じ、星の痣を持った人が来るらしいんです」
「……?」
「遠い親戚、というところです。話があまりにも複雑なんです。僕の実父は、DIOというらしいんですが、吸血鬼な上に、首から下は別人の体で……楓?」
「突拍子もない話でびっくりしてるの。続けて」
「その別人が、星の痣を持っていたらしく、その、孫の孫と会うんですけど」
「……うん。…………ん?」
「その孫の孫がDIOを倒したんですよ」
「……初流乃くん」
「はい」
「ごめん、頭がこんがらがってる」
「まあ、そういう話です。心配というより、どう反応すればいいのかっていう感じで」
「……自然と、遠い親戚と言っても、初対面。DIOっていう人にも会ったことすらない……まあ、会ったとしても赤ん坊のときで、初流乃は関係ないんだよ。自然に、出来るかは知らないけど、初流乃なら大丈夫。あれなら、私も一緒にいてあげる。仕事じゃなかったらだけど」
「ありがとう、ございます。楓は姉で、僕のマードレですよ、好きです」
「……私も好きだよ、初流乃」
「………………」
「…………おやすみ、今だけでも、気を張らずに寝てね」

頭を一撫でして、ソファーに体を預けた。

「入るぞ、ジョルノ……って寝てるのか?」

反応しない初流乃に変わって、楓は目を覚ます。入ってきたのはブチャラティだ。

「静かにお願いしますね。ごめんなさい、ちょっと、今、動けなくて」
「……重くないか?」
「うーん、男二人を引き摺ることがままあるので、そこまでは」
「……ああ」

そういやこいつも暗殺チームの人間だった、とブチャラティは思い出す。

「……ん、楓?」
「おはよう、ジョルノ。ブチャラティさんが来たよ」
「…………ああ、ありがとうございます。何の用、ですか」
「起きたか。麻薬チームの生き残りがいてな」
「あ、私、帰りましょうか?」
「いいや、どうせそっちのチームの案件だ。聞いていてくれ」
「はい」

麻薬チームの生き残りは、前のボスが死んだと同時に行方を眩ませて、潜伏。頃合いを見て、別組織に売り捌くっていう感じだな。

「詳細はまた送る」
「よろしくお願いします。さて、ジョルノ、私帰るね」
「…………楓はここにいてください……」
「私、ご飯作らなきゃいけないんだけど……」
「暗殺チームの皆は楓のご飯を毎日………」

たまに出る、初流乃の面倒臭いところが見え、ブチャラティの顔がひきつる。

「はいはい。また今度ね。今日は冷蔵庫にあるもの使ってご飯にしなきゃいけないの」
「約束ですよ」
「わかってるよ。さて、そろそろ帰らないとメローネが突撃してくるし……。じゃあね」
「……はい」

初流乃のほっぺに頬をつけて、離れる。

「失礼しました。ブチャラティさん」
「ああ」

車に乗り込む前にメローネが突撃して来て、一緒に帰った。


「…………全滅の確認完了っと。服着替えたい……あれ」

屋敷に火をつけ、車に乗り込む。マナーモードにしていた携帯を開けば一通のメール。プロシュートからのメールで、仕事が終わり次第本部に寄れ、らしい。

「1時間で着ければいいなぁ」

血塗れの服と靴を車内で着替え、ゴミ袋に入れ、口を縛る。

「シャワー浴びれたらいいんだけど、無理だしなぁ。本部で借りるか」

予想以上に道が空いていたお蔭で45分で本部に到着した。顔を出したのはフーゴで、財団との調印らしい。ああ、初流乃の遠い親戚が云々か、と理解するも、それならシャワーは浴びるべきだと認識し、シャワーを浴びて、茶を出してこい、とミスタに言われ、応接間にお茶を出すところで花京院と遭遇。従兄だと気づかない楓に対して、従妹だと気づく花京院を見て、一目惚れされたと勘違いするジョルノ。承太郎は楓が花京院の従妹だと悟るけど、面倒だし、口には出さない。ポルナレフは周りの様子に気づかずにありがとな、カエデ!と言った。終わった。ギャングの使用人になっているなんて、と脳内で空を仰ぐ花京院に対して、承太郎は楓の髪に着いた血の臭いに眉をひそめる。髪の毛までシャワーを浴びると時間が掛かるため浴びてなかった。

承太郎と花京院が見えない場所で大丈夫だから部屋を出てほしい、とハンドサインで伝える初流乃を見て、失礼しました、と部屋を出ていく楓。髪の毛にもシャワーを浴びて、ドライヤーで乾かして、執務室で報告書を書き始める。

応接間で調印を終え、一息吐いたところで、承太郎がDIOの写真を見せたり、ポルナレフのびっくり顔が面白かったとは花京院談。

「お茶を持ってきた彼女は使用人かい?」
「いいえ、姉です。あ、でも、血は繋がっていませんよ」

姉です発言に承太郎は目を開き、血は繋がってないと聞いて安堵する花京院。

「……姉はやりませんよ」
「いいや、僕の従妹にそっくりで名前も同じだったから、びっくりしたんだよ」
「…………」
「僕の従妹もスタンドを持つ才能があってね。幼少期から僕のスタンドが見えていたんだよ」
「……はあ」
「その従妹の名前はなんなんだよ?」
「黒雲楓、だよ」
「………………僕の姉と同じ名前ですね」

ブチャラティに楓を連れてくるように言い、そのまま応接間で色々。楓は逃げたい。

「……えっと」
「僕のこと、覚えているかな?」
「……………………?」
「まあ、子どもだったから覚えてないか。僕は花京院典明。君の従兄なんだけど」
「…………!?えっと、明くん?」
「そうだね」
「お、お久しぶり、です。ジョルノ、これ、どういう」
「……楓、落ち着いて。花京院さんがSPW財団の次期総帥で、調印を結びにきただけですからね」
「いや、だってもう15年は会ってなかったから」
「無事でよかったよ。5年前に仕事を辞めたことまでしかわからなかったから」
「……え」
「今、何をしているのか聞いてもいいかな」
「……えーっと」
「見ての通り、パッショーネの構成員です。5年前からパッショーネに、ね」
「うん、まあ、そういうことです。ジョルノ、プロシュートの連絡で来たから、リゾットに報告、行ってきていい?」
「ええ、花京院さん」
「なんだい?」
「カエデも一緒でいいですよね?」
「ああ、話を聞きたいからね」
「ということなので、夜は食事に行きましょうね!」
「わかった。6時ぐらいだよね?」
「ええ、迎えに行かせます」
「OK、待ってるわ」

応接間を出て、車に乗る。少し血の臭いを感じてファブリーズを撒いた。

「っていうことだから、夜、いないから」
「…………わかった。粗相のないようにな」
「わかってますよぅ。ご飯の用意はしておいた方がいいかなぁ」
「俺たちは勝手にするから、仮眠を取っておけ、碌に寝ていないだろう」
「膝、いい?」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい」

目が覚める。爆睡だった。ごそごそとしたことからリゾットが書類に目を通しながら、声をかける。

「……起きたか?」
「リゾット……今、何時ぃ……」
「5時だな」
「え」

その言葉に意識が覚醒する。

「ボスと次期総帥が一緒に食事するなら、絶対高いレストランだよね……」
「…………そうだな」
「着替えてくる!プロシュートいたよね?」
「ああ」

慌ただしく、飛び起き、ジャケットを脱ぎながら廊下を出て、プロシュートを呼ぶ楓を見届け、リゾットは報告書を机に置く。従兄がSPW財団の次期総帥で義弟が自身のボスとなった今でも、ここに戻ってきてくる楓に幸せを感じる。

コーヒーを淹れるために立ち上がって、ふと引き出しが目に入る。懐かしいな、と引き出しを開けて、入っているのは、数枚の写真だった。一人前と認められ、チームに正式加入した楓と撮った一枚、日本人ということもあり、まだ子どもから脱しきれてはいないが、人一倍、目には覚悟が伴っていた。まあ、年上に厳しくも甘やかされた結果、今でもリゾットの膝枕に抵抗はない状況だ。

「帰りは何時だ」
「……わからないなぁ」
「じゃあ、終わったら連絡しろ。迎えにいく」
「わかった」

よし、こんなものだろ、とプロシュートが髪を触るのを終える。

「GPS、着けておくぜ」
「心配性だよね、プロシュートも」
「場所がどこかわかんねぇしな。綺麗だ、カエデ」
「ふふ、ありがとう」

ノックが聞こえて、返事をする。リゾットが到着したらしいから、行ってこい、という。

「じゃあ、行ってきます」
「気を付けろよ」
「うん」

そう答えて、アジトを出る。

「ミスタ」
「お、来たな。お手をどうぞ、シニョリーナ」

着いたレストランは、超高級レストランだった。着替えていてよかった。

「楓、綺麗です。凄く似合っています」
「ありがとう、ジョルノ。ジョルノも似合っているよ」
「ありがとうございます」

弟にエスコートされるのは複雑だが仕方がない。高級レストランだもの。

「遅れてしまってすいません」
「いや、いい。丁度時間だ」

席に座ると、前菜が出てくる。

「それにしても大きくなったね」
「明くんこそ、凄く大きくなって誰だか本当にわからなかった」
「気付かれなくて結構ショックだったんだけど」
「……それは、ごめん」
「今は何をしているんだい?」
「事務作業をリーダーと一緒に、後は家事とか(暗殺とか情報収集とか)」
「……家事?」
「うん、ご飯作ったり、洗濯物を干したり」
「誰と暮らしているんだい?」
「チームのみんなと」
「男?」
「うん」

フォークを落としそうになるもすんでのところでキャッチする花京院。ジョルノはため息を吐いたり。

「楓、一緒に暮らしている、と言っても、部屋は一人部屋でしょう?」
「うん、そうだね?大体(私は)寝るときしか部屋にいないけど」
「楓も大概仕事人間でしたね」
「んー?でも、リビングで本読んだりしてるけどなぁ」

暗殺業だけは黙るべきだとわかっていたり。

「……迎え、来ていましたね」
「ほら、乗れ。カエデ」
「ギアッチョ、ありがとう」
「…………」
「俺もいるよ、カエデ!」
「メローネもありがと」

頬を擦り合わせる挨拶をする度に花京院の視線が怖くなったり。

「でも、プロシュートが来ると思ってた」
「あいつならペッシの付き添いだ。一人で殺れるって言ってもまだまだ甘ぇしな」
「……そっか、じゃあね。ジョルノ」
「連絡を入れるよ、楓」
「うん、ご馳走になりました。明くん、承太郎さん」

そういうとギアッチョがアクセルを踏む。

「ディ、モールト、ベネ!可愛いよ、カエデ!」
「ありがとう、メローネ。お仕事から帰って来たばっかりだったでしょう?」
「アジトに帰るついでだ、ついで」
「……それにしても柄にもなく神経使った……」
「どうして?」
「暗殺業をしてるなんて知ったら、引き剥がされそう。私、このチームでずっとやっていきたいから」
「ま、暗殺チームつっても、暗殺業は減っていくだろうしよぉ」
「ま、抗争でも勃発しない限り、みんな、家に集まるってことだよね。私、皆がいるところなら、安心して寝れるから」
「寝てもいいよ?仮眠取ったって言っても数時間でしょ。3日分の疲れを取りたいなら、寝るのが一番だよ。俺の太腿で良ければ貸すよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて、おやすみなさい、メローネ、ギアッチョ」
「……おやすみ」
「いい夢を見てね、カエデ」

爆睡の楓を起こすのが忍びなくて、化粧だけ落とさせて、リビングのソファーに寝かせて、翌日の早朝に帰って来たプロシュートとペッシに驚かれながらも、ブランケットを被せてもらうとか。


花京院に職業バレしました。

「…………えーっと」
「……承太郎は本当に鋭いと思うよ」
「……あの、明くん」
「楓がお茶を持ってきたときに、髪から血の臭いが仄かにしたって聞いていたんだ」
「………………明くんは、私が暗殺者だと知って、どうするの」
「……どうもしない。もし、楓が嫌だ、辞めたいと言うなら、全力で手を差し伸ばすけどね。そんな気持ちはないのだろう?」
「うん。毛頭もないよ」
「びっくりしたかい。僕も妹のように接していたから複雑だけど、それはもう、10年以上も前の話だ。楓には、血の繋がった家族ではないけど、帰る場所がある。そうだろう?」
「うん、暗殺チームは、私の帰る場所だから」
「……でも、そうだなぁ。従兄弟違、見たいなぁ」
「えっ」
「好きな人、いないのかい?」
「いないよ。そんなこと言うなら、明くんも結婚、しないの?」
「僕は身近で離婚されてるからなぁ。結婚するつもりはないよ」
「……私にはそういうの、酷いと思う」
「僕もそう思うよ」
「っなら!」
「君の子なら、きっと可愛いよ」
「明くん!!」
「そうだね、言い方を変えよう。楓は多分、昔のことがあってから、目を背けてるんだ。楓に好意を向けてる人間はしっかりいるよ。楓はそれを別の感情だと思って、目を背けている。怖がらなくていい、きっと彼らなら、手放すわけがないからね」
「明くん?」
「さて、そろそろ合流しなきゃうるさいだろう。僕も行くよ」
「うん。……ありがとう」

右手を上げて、去っていく花京院を見届けて、ホルマジオに合流するため足を進めた。

結婚しないまま、うやむやになって、6部が始まる。

「気を付けろ」
「うん、じゃあね」
「……カエデ、帰って来たときに二人で話したい」
「わかった。行ってきます、リゾット」

承太郎が仮死状態になった。魂が抜かれたから、体の機能が著しく低下している。楓、助けに来てくれないか、弟くんには要請は出している。その言葉に連れられるまま、アメリカに飛んで、スタンドを使って、承太郎さんが死なないように血液を回す。

「…………あれ、なんだろう」

がらりと意識が反転した。


n巡先の世界で。

何かが合わさるように、意識が覚醒した。

「ぁ……」
「おはよう、楓」
「…………あきくん?」

目を開く花京院に、楓は首を傾げる。

「えっと…………?」
「……僕たち、生まれ変わってしまったんだよ」
「…………うん?」
「難しい話はよそう。従兄妹じゃなく、兄妹になったことをわかってわかってくれたら、十分だよ」

それから、すくすくと育ちまして、大学生になりました。医学部現役は結構しんどかった。中学、高校とSPW財団の息がかかった場所ではあったし、大学もそうなのだが、1つ上のお兄さんになった明くんに雛鳥のようについていったのは仕方のないことではあったし、明くんといれば、知り合いにも会えたしで、でも、目の前でバチバチと殺し合いに発展しそうなときに、明くんがいない、というのは、どういうことだろう。

「リゾットも、ブチャラティも、落ち着いて、ね?」

医学部というので、男所帯に抵抗はないが、下心丸出しでは流石に仲良くなれないものだから、医学部から少し離れたベンチに腰掛けてお弁当を食べていた。ら、お弁当に影が落ちて、見上げれば、リゾットとブチャラティがいたわけだ。

「会いたかった、リゾット!」
「俺もだ」

イタリア流の頬を合わせる挨拶をして、嬉しくて思わず泣いた。明くん経由で初流乃には会ってたし、今もギャングしていて、ブチャラティたちとも仲良くやっていますとも聞いてたけど。

「よかった……。やっと会えた」

アメリカに飛んで、数日経ったら、ここにいた。何年も会えなくて寂しかった。

「……カエデ」
「なぁに?」
「二人で話したいっていう話、覚えているか」
「うん」
「講義、何時に終わる?」
「5時だよ」
「迎えにいく。どこの学部だ」
「医学部」
「……そうか。わかった」

講義が終わり、先日、調べてもわからなかったところを質問するために教授に話を聞いて、校舎を出る。

「リゾット!」
「カエデ、アジトに行くが、いいか?」
「うん、いいけど……」
「ならいい。車に乗ってくれ」
「はーい」

車に乗り込んで、リゾットの運転で家とは反対の方向に向かう。車を止めたと思ったら、リゾットはこちらをじっと見つめる。

「カエデ」
「どうしたの?」
「好きだ」
「うえ」
「愛してる」
「リゾット……」
「アメリカから帰ってきたら伝えるつもりだったんだ。なのに、こんなことがあって、約20年、カエデのいない生活だったが、耐えられなかった。こんなに愛していたのだと思い知られたよ」
「……リゾット」
「返事はまた、今度でいい」
「ううん、リゾット、私も好き」
「カエデ」
「事を飲み込むまで、時間がかかって混乱していたんだけど、いつもリゾットのことが真っ先に思い浮かんでね。だから、会えて、本当によかった。わ」

リゾットが抱き締めてきて、ちゅっとキスをされる。

「……愛してる。だから、結婚を前提に付き合ってくれ」
「私も、愛してるよ。だから、よろしくお願いします」

見つめあって、次は深いキスをした。

「おかえりー、リーダー遅、かっ……カエデ!!」
「メローネ!ぶっ!?」

案内されたバーに入ると、母校の選択式の指定制服のブレザーを身に纏ったメローネが突撃していた。

「メローネも私が引き抜いたときぐらいの年齢?」
「まあ、18だし、それくらい?」
「そっかぁ」

ポロリと涙が落ちて、メローネはぎょっとする。

「あれ、また涙が」
「安心したんだろ」
「プロシュートもいる……」
「俺もいるからなッ!」
「ギアッチョ……」
「……カエデ」
「リゾットぉ……」

リゾットに抱きつくカエデは見えないが、リゾットには手を出したらメタリカ、と視線が物語っており、察する。

「……でも、今まで通りにやらせたもらうからな」
「……何もそこまでは束縛はしない」

イルーゾォとホルマジオは仕事らしく、ソルベとジェラートは変わらず、泣き虫だなとか、変わらないとか言われる。嬉し涙だったため、早くに涙が止まり、近況を聞きながら、プロシュートの作ったカルボナーラを食べる。懐かしすぎて、泣いた。

「医学部って医者になんの?」
「うーん、医者でもいいけど、医学知識が欲しかっただけで」
「……霞んで見えてたけど」「カエデも十分、変人だよな」
「……カエデ」
「なにー」
「外科付近の免許取って、ジョルノに頼んで、パッショーネ専属の医者にでもなれ」
「当然、所属はウチだよな」
「いいの?」
「まあ、あんときよりも依頼数少ないしな。怪我の数も少ねぇし」
「……スタンドで傷塞げるし……」
「一般人にしたら面倒だろ。理解のあるところでいいんだよ。あーと」
「?」
「一緒にいたい、じゃあダメか?」
「ううん悪くない!」
「決まりだな」

おかえり、という明くんは少し不機嫌そうだ。母は海外出張で、父も急な出張で帰ってこない。一人にするのは、そりゃさみしいか。と思う。

「明くん、あのね」
「……うん」
「恋人、出来ました」

バッと酷く驚いた様子で振り向かれた。

「相手は!?」
「リゾット、前の私のチームリーダー」
「………………そうかい」

落ち着いた様子でそう答えられ、あれ、と思う。拒否しないんだ、という感じだ。

「…………実はいうと先日ばったり出くわしてしまってね。カエデがいることを遠回りで伝えたつもりではあったんだけど、付き合う許可を降ろせと言われて」
「……そうなんだ」
「5区のバーだっけ?あれなら迎えにいくよ。彼が楓を一人にしないと思うけど」
「……うん」
「……はあ。よかった。医学部の紅一点だと騒がれてたみたいだから安心した。これで少しは落ち着くんじゃないかな」
「ええっと?」
「医学部の人と仲良くなかっただろう」
「うん、だって……」

と目を反らした。下心が丸見えな状況で仲良くなれない。イタリア人の方が下手に隠さなくていい。

「まあ、いい虫除けにはなるだろうね」
「明くん?」

ふふ、何でもないよ、と頭を撫でられた。



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