ネタ供養と名前変換なし(小説) | ナノ
従士inマギ

1日1回、天族に対し祈りを捧げるという誓約と死んだことにより、天族に近い体になった。従士契約もそのままで神衣も可能。

未開の孤島にデゼルと二人で過ごしていたところ、トランの民が人に追われ、移住。それを迎え入れる。トランの民は天族が見えるため、カエデが何と話しているのかをわかっている。シンドリア建国以前に、土地を探していた(難破して一人の)シンドバッドをトランの民が拾う。基本的には、集落から少し離れた地で暮らしているが、シンドバッドが目を覚ますが、トランの民とは話が通じないので、カエデが呼ばれる。

「“落ち着きなさい。みんな”」
「“カエデ様!”」
「君は……」
「初めまして。この言語なら、話せるかしら?」
「ああ!俺はシンドバッド。君は?」
「カエデ、よ。海辺に倒れていたそうね」
「ああ。嵐に巻き込まれて、船から落ちて、な。流れてきた流木に掴まっていたら、ここにいたんだ……」

こんな島にトランの民がいるとは思わなかった。それに、共通言語を話せる者がいるなんてな、と言われる。

「…………。貴方が乗ってきた船の特徴は?」
「ん?それは、大きいぞ。商船なんだが…………」
「そう。ま、この辺りに来る船なんてそうそうないわね。デゼル」

ああ、という声が聞こえて、風に乗って消えていく。

「“彼の仲間が助けに来るまで、誰か泊めてあげてほしい”」
「“わかりました、カエデ様”」
「“じゃあ、わたしのうちにしょうたいするわ!”」
「“ええ、よろしく”」

少女の頭を撫でて、シンドバッドの方を向く。

「今、ワタシの友達が貴方のお仲間を探しているわ。この島に迎え入れるから、彼女の家にお世話になってくれる?」
「いい、のか?」
「ええ、それに、ここの言語を少しでも学ぶといいわ。“じゃあ、私は行くね”」
「“ありがとうございました。カエデ様”」
「“いいのよ、別に”」

歓迎でもすると喜ぶと思う、と伝えると、頷いた大人を見てから、その場を離れた。



「“カエデは、トランの民、違う?”」
「“カエデ様は、この島にずっと住んでるの!”」
「“一人で?”」
「“デゼル様と二人で、この島を守っていたの!”」
「“いつから”」
「“お爺ちゃんがこの島に来る前から!”」
「えっ」
「“?”」

トラン語を少し学んで3日、文法は無茶苦茶ながらも、会話ができるようになったシンドバッドは、トランの民とは明らか違う様子のカエデに興味があった。

この少女が物心ついたときには、カエデはいたのだろうか。この島にトランの民が来たのは、何年前の話なのだろうか。自分と同じくらいの歳の少女はトラン語も共通言語も堪能だった。いつから彼女はここにいて、何故、トラン語も共通言語も話せるのかが、不思議で堪らなかった。好奇心が止まらない。

「“カエデ、どこ?”」
「“カエデ様なら、きっとお祈りしているわ!おひるまではお祈りの時間だから!”」
「―――…………?」

ジェスチャーで、トランの民は意味を教える。祈る。大漁と航海の安全を祈願して、故郷の村でもそんなことをやっていた者がいた覚えがある。カエデのところに行きたい、そういうと、お祈りの時間は邪魔をしたらダメと言われる。そうなのか……と落胆した。

その光景に、シンドバッドは息を飲んだ。

魔導士でもないのに、ルフが見えるほど、そこにはルフが密集していて、祈りを捧げているカエデの後ろ姿が見えた。

話し掛けようとして、思いとどまる。祈りの時間は邪魔をしたらダメなのだ。トランの子とかくれんぼをしていて、森全域を使ったかくれんぼで、ここに来てしまっただけだった。

どれほど、時間が経ったのか、幻想的な光景に見惚れていたらしいシンドバッドの頭には、かくれんぼをしていたことを忘れていた。

「“……そこにいるのは、誰かしら”」
「あ、これは、別に……!」
「シンドバッド、貴方だったの」

見えるほどいたルフは見えなくなってしまっていた。

「貴方のお仲間が見つかったみたい。後数日で、この島に辿り着くわ」
「!」

嬉しいと思う反面、ここから離れる日は近いと理解する。まだ、カエデのことは少しも知らない。

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