日常は少し鬱陶しい。 「ねぇねぇ、篠束君って彼女いるの?」 「っていうかこんなにイケメンだし、いない方がおかしくない?」 「あ、確かにぃ〜!」 「でもさ、好きな人とかいたら別だよね」 「一途な恋? それやっばぃ」 「ねぇ、どうなの?」 「いないんだったら私付き合って欲しいな〜」 「あ、ズルい菜緒。私も!」 ……………………鬱陶しい。 いつもいつも俺の周りで、一体何がしたいんだお前らは。 お前らより、あいつの方が絶対に可愛い。 推測だが身長は俺の胸辺りまでしかないだろう。 あっちはあっちでやたら女子に囲まれてるが…………。 「ねぇ、何か言って?」 「彼女いるの?」 少し黙ってくれ。 頭に響く。 「うるさい。俺は今読書をしているんだ。邪魔をするな」 「その堅いとこが好き…………!」 「えぇ〜…………んじゃ、彼女いるかだけ教えてくれたらあっち行ってあげる」 だから何故お前らが命令する。 面倒だ…………。 「ほら早く。本読みたいんでしょ?」 「……………………俺はお前らみたいなのには興味ない」 これは本音だ。 どこが良いのか分からない。 「うっわぁ…………」 ふん、勝手に引いてろ。 これで二度と俺に近寄らなくなって欲しい。 そうすれば思う存分自由な日々を過ごせる。 「いかにも言いそうな台詞!」 「やばい格好いい!」 「体温上がり過ぎてやばい…………」 「やっぱ女慣れしてるんだ?」 だから何故そう言う解釈が出来る? 思考回路は正常に動いていないのか? 「なぁ、あいつ」 「あぁ、ウゼェよな。女には興味ないだァ? ちょっとばかしモテるからってお高くとまってんじゃねぇよ!」 男子の目が冷たいのはいつものことだ。 だが、 勝手な憶測で物を言うのはやめろ。 俺は本当に女が苦手なんだ。 あぁ、もう。 どうして俺の周りはこんな奴らばかりなんだ。 [目次] [しおりを挟む] | ||