「…ん?こんな部屋あったんだ」

「誰だお前」

「え?あ、すみません。まちが…………こ、こう…すけ………?」

「あ?知り合い?」

俺は目を見開いた。目の前にはよく見知った男が立っている。一瞬幻覚かと思ったが、こいつらも見えているということはどうやら本物らしい。そうか、よりによって玲がいるクラブ会場だったのか。
彼が目の前にいると理解した途端、こらえていた涙がポロポロと溢れ出た。泣くのなんて小学生以来だ。みっともないと分かっていても、一度出たら止まらない。


「れ…い…たすけ…て…」


俺の声を聞いた玲は一気に顔つきが変わった。それは彼がめったに見せることのない怒りと憎悪に満ちた表情。普段ヘラヘラ笑っている彼からは想像もつかない顔だった。

「…テメェら覚悟はできてんだろうな?あ"?」

玲は静かに怒りを込めながら、地を這うような声でそう言った。仲間だと分かっていてもこっちまで身構えしてしまうほどだ。

玲は俺を鉄パイプで殴ったやつに蹴りを入れると、そのままの勢いでその隣にいた奴を殴った。改めて見ると本当に隙が無い。彼が動く度に肉がぶつかり合う音と、男たちの声にならない悲痛な叫びが響いた。

玲はものの数分で数人を蹴散らしたかと思うと、さっきまで俺を組み敷いてた男の首を踏みつけた。彼は「ゲェ…」と蛙みたいな声を上げる。そして徐々に顔が真っ赤になり始めた。気道が塞がって息ができないのだろう。
玲は男が気を失う寸前のところで彼の首を踏み台にし、俺の目の前にいるオレンジ頭の顔面を殴った。「ジャリ」という音が俺にまで聞こえた。恐らく奥歯が砕けたのだろう。



あっという間にこの空間で動ける人間は俺と玲だけになっていた。

「晃介、大丈夫?」

「はぁっ…れい…あつい…」

「あー…大丈夫じゃないね。うん、一回抜いてあげるよ」

まだ一回もイっていない俺は体の熱さに悶えていた。はやくこの熱から解放されたい。俺は玲に「イキたい」と必死に訴えかけた。
そんな俺を見た玲は「我慢しろ俺…」とかブツブツ何かを言っている。一向に触ってこない玲に痺れを切らした俺は遂に涙を流しながら「はやく」と声を上げた。
それを見て少し焦った顔をした彼は俺の勃ちっぱなしの性器を優しく手で包み込むと、そのまま緩く上下に動かし始めた。

「あぁっ!あ、いく…いくっ…!……んんっ!!…はぁっ…はぁっ」

数回擦られただけで呆気なく玲の手の中でイってしまった。我慢していた分勢いよく射精した。玲の指の間から白い液体がポタポタと溢れ出る。
自分の精液の粘り気さえも気持ち良くて、そのまま握ってて欲しいと思った。

「なにこれ全然萎えないじゃん。どうなってんの」

「あっ…んっ…またイクっ…!あぁ!んんっ…」

玲は射精しても収まらない俺の性器を見て、眉をひそめながらなんとも言えない表情をした。そして再び擦り始める。
一方俺はそんな玲の顔に気づかないまま、与えられる強い快感に身を任せた。

今まで出した精液がじゅぷっという音を立てて泡立つ。もっとぐちゃぐちゃにして欲しい。目の前の男の名前を口にしながら何度目かも分からない射精を迎えた。


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