男はいまだにガンつけてる俺をよそに、今度はワイシャツを脱がしにかかってきた。途中からめんどくさくなったのか乱暴に前を開く。留めていたボタンがあらゆる方向へ飛んでいった。 肌が直接空気に晒される。前がはだけるだけでこんな心もとなく感じるものなのか。体がブルっと震えた。きっとこれは寒さだけではない。 男は上半身を倒すと、俺の乳首を執拗に舐め始めた。舌先で転がすように弄ったり甘噛みをしたり、女にやるようなことを俺にしてくる。しかしただ擽ったいだけだ。濡れた箇所がスースーする。 俺は天井の模様をずっと眺めていた。 「反応が面白くねーなー」 当たり前だろ。見ず知らずの男に乳首舐められて気持ち良いわけない。キスまでされて、むしろ悟りが開けそうなところまで来ている。 すると男は飽きたのか俺の腹の上から退いた。 いいぞ、その調子だ。このまま無反応でいれば殴られるだけで済むかもしれない。 しかし、俺の僅かな期待は儚く散った。 なんと奴は俺のベルトに手をかけ、カチャカチャと脱がし始めたのだ。 「…っ!やめろっ!離せ!!殺すぞ!」 「はははっ!いいねー。その反応が見たかったんだよ」 「クソがっ!離せっ!変態!」 俺は足をバタつかせて抵抗したが、周りの奴らに押さえつけられてあっさりズボンを脱がされてしまった。それでも何回か腹に入った手応えはある。片方の足を抑えてた奴を見れば、案の定嗚咽を漏らしていた。 「威勢が良すぎるのもちょっと困るなー。切り落とされたくなかったら動くなよ?」 さっきまで腹に跨ってた男はカッターナイフを取り出すと、そのまま俺の下着を切り始めた。時折冷たい金属が肌にあたる。俺はその度に無意識で呼吸を止めていた。 下着の締め付けが無くなった。相変わらず下半身にはカッターナイフが当てられている。今の俺は身につけているものがワイシャツだけという無様な格好になっていた。しかもそのワイシャツも前が完全にはだけて服の意味を成していない。 「良い格好してるね」 「…殺す」 「ははっ!やっぱりお前は俺の楽しませ方を分かってんなぁ。でもいい加減違う顔も見たくなってきた」 「あ"あっ!!」 いってぇ…。 男は俺の両足を広げると、いきなりケツに指を入れてきた。潤滑剤も何も無い。痛みと違和感だけが体を襲った。 「きっつ。お前こんなんじゃチンコ入んねーよ」 「あ"っ!う"っ…い、いって…」 男は文句を言いながら指を抜き差しする。その手つきは内壁が傷つくことなんて御構い無しとでも言うかのように乱暴だ。しかし、待てよ暮らせど一向にほぐれない。当たり前だ。潤滑剤が無いのだから。 この状態で男のものなんて入るわけがない。むしろ入れるなと言ってやりたかったが、痛みを堪えるために唇を噛んでいたため、思うように言葉を発せなかった。 「もうめんどいから一気に3本いれるね」 「や、めろっ…!あ"あぁ!」 「あ、血出てきた」 男は強引に指を3本入れた。1本のときとは比にならない痛みと圧迫感が押し寄せてくる。裂けた箇所を擦られる度に声にならない悲鳴をあげた。 腹のなかでバラバラに動く指が気持ち悪い。皮肉なことに無理矢理指を入れられて中が裂けたことにより、血でさっきよりもスムーズに動くようになった。 「そろそろ良いよね。暴れそうだから、お前らこいつの足抑えといて」 「離せっ!やめろっ…まじで勘弁して…あ"あぁぁあ!痛い!抜けっ!抜けって!」 側で見てた男たちに膝を抱えられたと思えば、目の前の男はまだほぐれきってない俺のそこに容赦なく腰を打ち付けた。圧倒的な質量が腹の中を圧迫する。裂けてた部分が限界まで伸ばされ、激痛で視界がチカチカと点滅し始めた。あまりの痛さに「はぁっはぁっ」と呼吸が乱れ始める。 「おい、キツすぎてチンコぶった斬れる。力抜け」 俺の内腿をパシッと叩きながら男は言った。 そんなこと言われても無理だ。というかそう思うなら抜けよと思ったが、今そんなこと言える余裕は無い。拳を握り、ただひたすら痛みに耐えていた。 すると男は俺の腰を抑えながら律動を始めた。俺はいよいよ気持ち悪くなって吐き気を催す。 「あー…やっぱこの締め付けいいかも」 「あ"っ…くっ…」 「痛そうだな。こんなに萎えちゃって」 「くっ…い、いてーよ…下手くそがっ…!」 俺は目の前の男を睨みつけながら力を振り絞ってそう言った。奴は俺の威嚇を見てニヤァっと笑う。 とことん気色悪い笑みだ。 すると男は腰の動きを止めて、萎えた俺の中心を握った。そしてそのまま上下に動かし始める。 「…お前なんで勃たないの?EDかよ」 「はっ、この…状況で勃つかよっ…。その小せえ脳みそでっ…よく考えろっ…!」 男の額に青い筋が浮かんだ。 正直、身体中が痛くて快感なんて感じない。いつもちょっと擦れば元気になるはずなのに、こんな萎えてるなんて想像以上に体が悲鳴をあげているらしい。あと恐らく精神的なものもある。 そもそもこの状況で勃起するなんて特殊性癖でも持ってない限り不可能だ。 「おい、お前アレ持ってきて」 男が後ろを振り返りながらオレンジ頭に何か指図をした。その言葉を聞いた彼は「了解」と言いながら部屋を出ていく。 その時見えたのだ。ドアの向こうで鮮やかな光が飛び交い、若者たちが踊ったり酒を飲んだりしているのを。 そう、ここはクラブ会場の一室だったのだ。ずっと軽快な音楽が聞こえていたのはそのためだろう。しかしどこのクラブかは分からない。 玲がいたらな…。そんな淡い期待を抱いていた。 「おい、口開けろ」 男はオレンジ頭が持ってきた、いかにもな液体を俺に飲まそうとしていた。もちろん飲む気なんて毛頭ない。しかしもう分かっていた。鼻をつままれれば、口を開けざるをえないことを。 苦しくなった俺はやっぱり口を開けてしまう。その隙に液体を注がれ、口を手で塞がれた。仰向けになっているため、飲みたくないのに液体が喉の奥の方に落ちてくる。 俺の喉がゴクッと上下するのを見ると、ようやく口を塞いでいた手が離れた。 「お前っ…何飲ませやがった…」 「大丈夫大丈夫。体が痛そうだったからそれを取り除いてあげようと思って。すぐ気持ち良くなれるから」 やっぱりそういうやつかよ。 くだらねーことしやがって。 男は液体が入ってた瓶を投げ捨てると、再び律動を開始した。 戻る 4/7 一覧 |