「久しぶりだったから、なんか燃えたね」

「久しぶりすぎて初夜ぐらい丁寧にやった」

「このぐらいの頻度が丁度良い」

「え"。それは困る…」

俺と陸人は一緒に風呂に入った後、他愛もない話をしながらベッドで横になっていた。俺の腕の中で、見上げるように話しかけてくる彼が愛おしい。

「陸人、変な質問していい?」

「え?うん」

「仕事と俺、どっちを取るか聞かれたらなんて答える?」

「え…」

比べようがないことは分かっている。優しい陸人にこんなことを聞く俺は性格が悪いのかもしれない。それでも俺は陸人に答えてもらいたかった。これから俺たちがどうやって進むべきなのか再確認するために。

「…仕事かな」

陸人は俺の表情を確認するように、不安げな顔でそう言った。
良かった。正直安心した。これで俺を選択されたらどうしようかと思った。たとえ会えない時間が多くても、決して看護師を辞めてほしくないし、俺も陸人を優先するつもりはない。これが俺たちの丁度良い距離感なのだ。

「良かった。それでいいんだ」

「…なんのひっかけ問題?」

「えー?陸人には看護師をずっと続けてもらいたいなぁって」

「俺だってあきには救命士を続けて欲しいと思ってるよ。そりゃあ、ほぼ家に居なくて寂しいけど、俺は救命士のあきが好きだから」

どうやら俺の杞憂だったようだ。
俺は陸人の前髪を掻き分け、綺麗な額に唇を落とした。

「もっかいエッチする?」

「明日当番でしょ。早く寝なさい」

ダメ元で言ってみたが、やはりダメだった。
陸人の体を抱きしめながら渋々目を閉じる。
暗闇の視界の中で温かさを感じた。


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