1-3 *** 学校に着くと、校門の前ではクラス分けの紙が配られていた。 なるほど俺はB組か。なんかいいよなB組って。金八先生大好きなんだよ俺。これは幸先良いことがありそうだ。 そんなことを考えながら歩いていたら、いつのまにか教室の前まで来ていた。 「うわ、なんか緊張してきた…」 金八先生が好きとは言ったが、金八先生に出てくるような生徒と同じクラスになるのは願い下げだ。俺なんか舐められやすい顔してるから真っ先にカツアゲに合うパターンだ。男はつらいよならぬ、平凡はつらいよ。 こうして俺の妄想は膨らむ一方だが、まぁ実際そんな悪い奴はいないと思う。だってちゃんと受験して入った高校だし。それなりに偏差値はある。かといってそこまで高いわけでもないけど。 俺は胸をドキドキさせながら教室に足を踏み入れた。 うーむ…。 俺の隣と後ろの席は女の子のようだ。彼女たちに話しかけるのは流石にハードルが高すぎる。俺はちゃんと自分のことを理解している平凡だ。彼女たちが俺にとって敷居が高いことぐらい分かっている。 …やめよ。自分で言ってて悲しくなった。 こうなれば前の男子に話しかけるしかない。名前順の席で周りと馴染めなかったらかなりの痛手だからな。 「あ、あの、俺、福田結斗っていうんだけど…よ、よろちく…ね!」 あぁぁぁあ!噛んだぁぁ! コミュ障全開な話し方になったうえに噛むとか、もうぼっち確定しそう…。 「よろしくね。俺は深瀬優太」 俺の「よろちく」とかいう気持ち悪い自己紹介なんて全く気にしてないかのように、前の男子は振り向きながら挨拶を返してくれた。なんて優しいんだ。 そして単刀直入に言うと、めちゃくちゃイケメンだった。 栗色の髪の毛に、陶器のような白い肌。スッと通った鼻は控えめで、薄く形の良い唇は弧を描いている。 ハニーブラウンの瞳を見る限り、きっとこの人は色素が薄くて栗色の髪の毛は地毛なのだろう。 こいつぁ、スクールカーストの頂点に立つような人間だべ。田舎出身でもないのに変な方言が出るくらいに深瀬は爽やか系のイケメンだった。 5 目次しおりを挟む |