3-7

俺の手には自分のものと、深瀬のものが握られている。その上から深瀬の手が重ねられ、ぐちゅっと動かし始めた。


「あっ…はぁっ…」


動かすたびに俺の手と深瀬の熱いものが擦れて気持ちいい。手とはまた違う感触が裏筋にあたる。
前を向けば、眉を寄せて快感に浸っている深瀬の顔があった。普段へらへら笑ってる深瀬がこんな表情を見せるとは。初めて見た深瀬の表情に心臓の鼓動が早くなるのを感じた。


「はぁっ…あっ…はぁっ」

「んっ…」


だんだん息が上がってきて、手の動きも早くなる。もうちょっとでイキそう…
そう思ったときだった。突然深瀬が手を止めたのだ。同時に俺の手も止まる。この状態でそれはきつい。「なんで」と深瀬の顔を見れば、彼もきつそうな顔をしていた。


「…ちょっと待ってて」

「…え?」


深瀬はなにかを取り出して俺に手渡した。
よく見てみると、それは2つのコンドームだった。


「さすがに、このままだと汚れるでしょ」


なんで今持ってるんだとかいろいろ疑問に思ったが、深瀬の言ってることは正論だ。
このまま射精すれば、いろんなところが汚れる。毛布も借り物だしそれは避けたいところだ。


「福田、ゴム付け合いっこしよ」


深瀬は口の端をあげながらそう言った。
いつもと違って少し余裕のない顔に見えるのは、きっと気のせいではない。

深瀬は俺からコンドームを1つ取ると、ピリッと袋を破って中身を取り出した。表と裏を確認すると、すぐに俺のものに付けてしまった。
こいつ慣れてるな…。女の子とそういう機会が多いのだろう。
「まだ?」という顔で見てくる深瀬。俺は仕方なく袋を開けて取り出した。
自分でもあまり付けたことないのに、他人に付けるなんて難しい。


「俺、コンドーム付けてもらうの結構好きなんだよね」


手こずりながら付けていると、深瀬がそんなことを口にした。
あぁ、いるよね。そういう人。
まぁ気持ちは分からんでもない。男は尽くしてくれる女の子に弱いからな。


「なんか征服欲がくすぐられる」


そういうことかよ。
分かってたけど、深瀬は子供っぽい性格のくせに、たまにSな部分がある。


「できた」

「ありがと」


付けてる最中も俺の顔をじっと見てくるから、正直やりにくかった。
付け終わったことを伝えれば、深瀬は軽くお礼を言って再び手を動かし始めた。





「あっ…あっ…ふっ…んっ」


深瀬はさっきまでの焦らすような動きとは打って変わって、絶え間なく強い刺激を与えてきた。手の動きに合わせて快感が押し寄せてくる。
誰かに声を聞かれたらまずい。そう思い片手で口を抑えようとしたら、不意に目の前にあった唇で口を塞がれた。びっくりして目を見開いたら、一瞬唇を離した深瀬に「しー」と、また言われた。そして再びキスをされる。


「んっ…ふっ…」


こ、こいつ舌を入れてきやがった。
ちくしょう、ディープキスは初めてなのに。
舌の先をじゅっと吸われるたびに背中がゾクゾクして、「もっと」と求めてしまう自分がいる。その間も深瀬は手を動かし続け、上からも下からもぐちゅぐちゅと水音が響いた。


「んっ!んっ…ふっ」


そろそろイキそうになり、目で深瀬に訴えた。腰がガクガクし始める。反射的にキスしていた顔を離そうとしたら、深瀬が俺の後頭部に手を当てて更に深くキスをしてきた。押し寄せてくる快感に耐えられなくなった俺は目をギュッとつむる。


「んんっ!んー!…ふっ…」

「んっ…」


体がビクンと痙攣し、そのまま射精した。
キスで口を塞がれていたため、大きな声が漏れることはなかった。
深瀬の手から力が抜ける。どうやら彼も同じタイミングでイッたらしい。
目を閉じて余韻に浸っていると、またくちゅくちゅとキスをしてきた。こいつキス大好きだな。脱力感で押し返すことも億劫になった俺は、深瀬にされるがまま彼からのキスを甘受した。


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