命の代償に忠誠心を捧ぐ@

沖田総司と約束を取り付けることには成功した私は新撰組の本拠地にいる。私の用事は聞いてくれるけれど一度屯所に寄らせてくれって言われたからついて来た。最初は現地集合にしようとしたのだが集合する場所を沖田総司が次々と挙げるのに私がずっと首を捻っていたら一緒に屯所に行くことになった。
沖田総司には屯所にたどり着くまでに頼みたい用事の内容を聞かれたからタイムトラベルとかミキシマックスとかは伏せて説明しようと試みたが難しいので『サッカーってわかります? んー……蹴鞠? 蹴鞠はわかります? 蹴鞠みたいなものでー。それが奪われちゃったから取り戻そうと頑張っている子たちがいるので少し協力して欲しいんです』と簡潔に話してきた。


「ゴールに入れたら一点」

「ごーる…」

「えーっと…陣地? 枠? 相手のこの枠に球を入れることができたら一点入って…。球を運んだり奪ったりしてこの枠に蹴り込む競技。手は使っちゃだめ。多く点を取った方が勝ち」

屯所に着いてからはサッカーの説明を描きながらしている。頼み事をされたから気になったのか、それとも気まぐれか、または純粋な興味かはわからないけれどとりあえず聞かれたからしている。サッカーを知らない人に一から説明するのは難しくてちょっとおかしくなっているかもだけれど、これを機にサッカーをしてくれないかなぁ。沖田総司はストライカーの才能があるからしてくれたら面白そう。


「そうか。俺は何をすればいい?」

「サッカーする!?」


私は地面にしゃがみ込んでいた。サッカーの説明を求められた時、口だけの説明より図を使った方がいいからとその場にしゃがみ込んだのだ。
沖田総司がサッカーをすることに気持ちが昂って顔を上げたけれど、沖田総司は虚をつかれたかのように目を丸くしていた。……あ、違う。私が沖田総司がサッカーしたら面白そうと考えてる時に言ってきたからどんなプレーをするか聞いてきたと勘違いしただけで、沖田総司は協力の内容を知りたがっているんだ。
ぱあっと輝いていたであろう表情は理解すると無くなる。沖田総司は「すまない」と眉尻を下げた。つまりしてくれないってことだ。そして咳き込む。やっぱり風邪引いてるの?


「え!?」


じっと見つめていると口を覆い咳き込んでいた沖田総司は膝をついた。バタンと倒れることはなかったけど、相当ひどい風邪のようだ。「沖田さん!」と駆け寄る新撰組の人は慌てている。


「少し横になられてください」


隊士の肩を借りて移動する沖田総司は重病のようだ。これでミキシマックスってできるの? 丸まっている背中に懸念を抱いてしまう。一日二日経って良くなってからの方がいいのかな、ってあれ? 地面に血がついている。さっきまで無かった。


「………血…」


沖田総司の手のひらにも血がついているのを見つけてしまう。地面にも血。……血を吐いた?


「……そうだ」


沖田総司は病気だ。水鳥ちゃんが言ってた。病気で若くして亡くなる人だって。


「…………んー…」


ぽりぽりと頭を掻いて地面についた血をごしごしと足で消す。幕末の医療は現代のように発展していない。手術はできないし、薬も大した効果がない。病気になったら終わり。


「……血を吐いてたってことはもう長くないのかな」


ごしごしごしごしと何度も血のついた地面を足で擦る。
歴史人物は大体若くして死んでいる。そんなことは小学生の時から学んでいる。病気も若くして死ぬこともこの時代では珍しいことではない。……それはわかっているんだけどなぁ。

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