俺たちが円堂監督と秋ねえのサッカー部設立を感動しながら見ていると後ろから刺々しい言葉が刺さってきた。どこかで聞いたことがある気がするけどまずどかなきゃ。「すみません」と謝って振り向くとまた感動してしまった。聞いたことがあるのは当たり前だ。
「真白さん!!」
「天馬っ!」
中学生の真白さんがいた。
思わず名前を呼んでしまいフェイに怒られたけれど、真白さんは疑問に思うことなく鋭い目つきで俺たちを睨んできてる。
あれ? 真白さんが睨んでくることなんてあったかな? いつもとは違うから少し変な感じ。いつもは楽しそうに嬉しそうに笑ったり見守るように微笑んだりしているのに。
「ごめんなさい! どうぞ!」
フェイと急いで道を開けると真白さんは俺たちが見えていないかのように歩いて行く。いい匂いがふわっと香ってきた。
「接触しちゃったね。大丈夫かな、ワンダバ……ワンダバ?」
フェイがきょろきょろとワンダバを探す。ほんとだ。ワンダバがいない。どこだろうと一緒になって探すとワンダバは壁に擬態していた。青色が目立っていたけれど真白さんには気がつかれなかったみたい。
ふう、と息を吐いたフェイと顔を見合わせて笑い合って少し離れたところから円堂監督たちのサッカー部の設立を見守る。そうだった。雷門サッカー部は真白さん含めての3人で設立されたんだ。
声は聞こえなくなってしまったけれど動きを見ているだけで楽しかった。
信助やみんなが知ったら羨ましがるんだろうなあ〜〜!! 円堂監督と真白さんの中学生時代をこの目で見れたなんて知ったら!
「嬉しそうだね」
「そりゃあそうだよ! 円堂監督と真白さんと秋ねえのサッカー部誕生なんて本来見れないんだよ! ここから一年後には俺は豪炎寺さんに助けられて真白さんとも出会うんだなあ」
みんなにもこの話を聞かせてあげよう。そのためにサッカーを取り戻さないと。
口もとがどうしてもにやけてしまう。どうにか抑えようとしても無理だった。またフェイに笑われる。
なんか少し変な雰囲気もしているけれど、無事円堂監督たちはサッカー部の部室の整理を終えた。
円堂監督たちのハイタッチにまた喜んでいるとある先輩の顔が浮かんだ。両目の色が違う、笑顔だけど怒っている先輩。ぐっと握り拳を作っている姿が簡単に予想できた。
「どうしたの天馬? 今度は青いよ」
「……フェイ」
「なに?」
「真白さんに会ったことは誰にも言わないようにしよう」
「? うん。いいけど……」
つい先程まではプロレス技も関節技もかけてこなかった先輩が恐ろしかったけれど、実際にかけられても恐ろしい。もし中学生の真白さんを直接見てきたと知られたら……想像しただけで身体が痛んだ。フェイは被害者にならないで欲しい。