これは奇跡だ。


だって白石くんと二人で勉強できるなんて。



理由は本当に単純で、テスト勉強は図書室派の私がいつもみたいに図書室へ行ったら白石くんがいた。




「みょうじさんやないか。よかったら一緒にせえへん?」




どうしよう。
好きな人と話せるだけで軽くパニくる私なのに一緒に勉強だなんてどうにかなってしまう。



でもこんなチャンスは二度とないはず!

私はどもりながらもOKの返事をした。









う、わ、白石くん字綺麗…!
ってゆうか指綺麗…!(って絶対私変態だ!)



ちら、と視線を上に傾けると白石くんの整った顔が目に焼きつく。
だめだ、直視できない…!




そんな心がいっぱいいっぱいな私の視線に気づいたのか、白石くんが手を止めてこっちを向いた。
わ、私が見てたのばれたかな。






「みょうじさんはいつもここで勉強してるん?」



「え!えっと…うん。テスト前はいつも…かな。」


「そうやったんか。俺普段全然ここに来ーへんから知らんかったわ」





「あ…確かに。じゃあ今日はなんで…?」



「…んー。気分やな」



「え…?」





「今日は何となく、ここに来たらええことあるやろなって思ったんや」




「そっかあ…」







本当に良いことあった?


って聞きたかった。





でも私の心は白石くんが私に向ける真っ直ぐな視線にどきどきするので精一杯でそれどころではなかった。













分からない…!



今日配られた英語のテスト対策プリント…

凄く苦手な科目ではあるけれどまさか最初から分からなくなっちゃうなんて。
どうしよう、白石くんもいるのに。

今まで馬鹿なイメージだけは持たれないように必死で頑張って来たのに…。


そんな慌てた思考回路から抜け出したいと思ったとき、白石くんが言った。





「みょうじさんそこわからへんの?俺で良ければ教えたろか?」





「えっ?!」






白石くんが…私に?






「いいの…?」





「おー全然構わへんで。ここはなー…」





ひゃ、顔近い…!
ってゆうか白石くんが私のために解説してくれてる…!

どうしよう、どうしよう!
恥ずかしいんだけど、凄い嬉しい…!



私は高鳴る心臓を必死で抑えながら白石くんの解説を聞いた。
すっごく分かりやすくて思わず溜息が漏れた。




「白石くん…教えるの上手いね!」





「そんなことないで。みょうじさんの飲み込みが早いだけや」




「ううん!ありがとう!」





あ、今やっとまともに会話できたかも…。
今日という日のおかげで少しは白石くんに慣れたのかもしれない。






「っと次の問題は、と…」






白石くんが次の問題を考えてる。
そんな些細な姿までなんだか様になっていて、つい見惚れてしまった。

かっこいいのは、ずるい。








「…ごめんな、みょうじさん」



「え…?」





「俺も分からへん」





「え、そう…なの?」






「すまんなあ…俺今日調べてくるわ。






だから明日もここで勉強せえへん?」








「えっ…!?」






奇跡って二度も起きるものなんだ。
私にとっての爆弾発言も白石くんは涼しい顔でさらっと言いのけていて
私だけ馬鹿みたいに赤くなりながら返答した。





「し、白石くんが良ければ、お願いします!」







次の約束



(本当はみょうじさんがいることも、問題の答えも知っとったけどな)
(せやけど普段俺ばっかりどきどきしとんのも不公平やろ?)




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ヒロインちゃんのことが前から気になっていた白石くん。
白石くんは小春ちゃんに頼んでヒロインちゃんの出没スポットを教えてもらっていたのでした。








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