なまえと待ち合わせたのは紛れもなく今から1時間後。


いくらヘタレな俺でもまさかここまで緊張するとは思わへんかった。




初めての恋にして初めての彼女。

おまけに今から初デート、という素晴らしいトリプルコンボは
もしかしたら俺にとって全国より凄いものなのかもしれへん。




いやいやだからといって1時間前に来るとかは流石に無いやろ。



こんなとこ財前あたりに見られとったら明日から忍足ヘタレ伝説がまたひとつ増えてまう。




おおお落ち着け俺!
せや、まずはそっからや、うん。


俺は一人でくるくる表情変えてる自分をとりあえず落ち着かせる。

そんなときふと視界に入ったのは水色のコンビニ。






「…まだ時間はあるやろ」







ひとまずコンビニや。
あの独特の冷んやりした空気を吸えば落ち着くんとちゃうか。

俺はコンビニで時間を潰すことにした。







*






俺は何故か店で大々的に広告されていたプリンを買うていた。


しかもクリームとか苺とかのってるケーキみたいなプリン。







せや、なまえにやろう!




なまえが現金なやつとはとても思わへんけど
プリンで少しは会話が弾むかもしれへんし…





そんなさっきよりは落ちついた気持ちで待ち合わせ場所へ戻ると










「えっ…なまえ?!」








なまえがいた。




嘘やろ?
だってまだ時間より30分はあるし…
(俺が言えたことちゃうけど)






「えへへ。なんか緊張しちゃって…早く来ちゃった」







どないしよう、どないしよう。



会って早々彼女の可愛さにKOされてしまいそうだ。





そんな少しくらくらした頭だったが俺は事前に用意していた伏兵に気づいた。







「なまえ!さっきプリン買ったんやけど…もしよかったらやるわ」






「えっ…いいの…?」








なまえは目を大きくして俺を見た。







「あ、なまえが嫌ならええねんけど…!」






「ううん、私プリン好きだよ。…ありがとう!」






照れながらはにかんだ彼女に俺は一瞬本気で思考が止まった。








安いもんだ。
プリンひとつで満足する彼女も、
彼女の笑顔ひとつで満足する俺も。




(謙也くん優しいな…)
(…なまえのあんな笑顔が見れるならちょっと早く来るのもええな)





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文中題は「確かに恋だった」様より







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