※友情ものです。
恋愛をお求めの方にはオススメできません。
理解のある方のみどうぞ。



























「あれ…財前、くん?」








帰り 駅前で声をかけられた。






俺は既に大会前で
遅くまであった部活にくたくたになってたもんやから
最初は面倒なことになってもうたなあと思てた。

けどそんな気持ちでゆっくりと相手を目にやると


そんな思いなんて何処かへいってしまった。






「…みょうじ」





「…久しぶりだね」






中学卒業してからぱったり会わなくなってしまった人







みょうじは俺の方まで足早に近づき優しく微笑んだ。






「大会だよね、もうすぐ」




「…まあな」




「大変だね。頑張ってね」






久々に近くでみるみょうじは
俺には多少刺激が強かった。



毛先が少しくせでカールしてるふわふわな髪の毛から微かに甘い香りがする



俺といた頃は胸くらいまでだったのに
今では腰に届きそうなくらいまで伸びていた。







中学時代、俺とみょうじは付き合ってた。



俺が中学入学してすぐに一目惚れして、
中2でやっと同じクラスになって
大会後の夏休みに告って無事付き合うことになった。





みょうじは優しくて小さくて、だけど芯が強い奴やった。


何時もニコニコしてるもんやから
他の男が勘違いせえへんか心配やったけど
俺とおる時はニコニコするだけやなくて弱い面も時折見せとった。



可愛え

と何度も思ったが言えた試しは殆どない。








高校行き始めてから会うことも少なくのうて
気持ちがお互い何処となく冷めてもうた。




別れを切り出したのはどちらか分からない。




それくらい自然に別れた。





不思議なほど呆気なく終わったもんやから未だにぼうっとしている自分がおって

別れは悲しくなかったはずなのに
何となく忘れられず今まで過ごしてきた。



彼女といたことで自分が幸せでおれたことは今となってひしひしと伝わってきた。







そして今日改めて見たみょうじは
何か今までとは違う感情を抱いてしまった。






可愛い、とは思った。


けどそれやない。





不思議と一緒に居たいと思ってしまうような

そんな引き寄せられる気持ち。






「財前くんは彼女できた?」





彼女の問いかけにどきっとした





「…いや、おらへん」





「ええ、なんで?財前くん凄いかっこいいのに。」







みょうじと居るのがこんなにも楽しいなんて。



気がつくと俺の頭の中は目の前のみょうじでいっぱいで、
みょうじの一言一言に胸がざわついていた。









「…お前こそおらんの?…彼氏」






「えっ…」








今更何聞いとるんや俺は。




まるでまだ俺がみょうじのこと…











「うん…いる、よ」













あ、






「…へ、へえ」







密かに再熱した想いが一気に冷めた。






せや、みょうじはもう俺の知ってるみょうじやない。





あの時とは違うんや。





「背が高くてね、モデルさんみたいで、すごい優しい人だよ」






簡単や





彼女はめっちゃ惚れ込んどる。


俺といたときには見せなかった表情、笑顔、オーラが眩しくて




それを見た時
彼女が幸せなのが少し悔しくなった。








「俺と違って、ってことか」





お陰で皮肉のような言い方をしてもうた。






「ううん。財前くんと同じってこと」






「…は」




何言うとるんこいつ。



「財前くんがさり気なく優しくしてくれてたの、凄く嬉しかったよ」






…なんやねんこの女






「…随分と今更やな」





「だって、私忘れられないの」




財前くんと過ごした日々がね。










…あかんでこの女。



魔性の女になっとったわ。






「…じゃあまた一緒に過ごせるか」






「…過ごせるよ?




彼氏が一番だけどね」






「…じゃあより戻す気も無いんか」




「え…財前くん、より戻したいの…?」





「…俺はお前がええならいつでも…」







「んー…




お断りします、かな」





彼女は一瞬考えたがすぐに答える。




「私はもう過去に引きずられたくないから」






彼女はやはり俺には似合わん女や。






「ただ今は…財前くんとお茶飲みに行くとかなら全然大歓迎だけどね」







先ほどの真っ直ぐな瞳から一変してふわりと笑う。



俺も引きずられている場合やない。




あっさり別れたからって立ち止まってちゃ何にも変わらへん。






「じゃあ今度お茶せえへん?





…それまでに俺に紹介する女探しとけ」











「…!




うん、分かった!」






彼女とは長い付き合いになりそうだ。










偶然見かけたあの姿




あいつのお陰で俺の世界が変わった。



そしてこれからも近くにいる存在でありますように。







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ちょっと補足させていただきますね。

爽やかな悲恋ってきっとあると思うんです。
今回の財前くんは恋愛抜きでもヒロインと一緒にいたいと思ってます。
ヒロインさんも彼氏が一番なので財前くんとより戻すことは考えてません…多分。

分かりにくい話で申し訳ないです。
もちろんご自由に解釈なさって構いませんよ!









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