「俺、今日合コン行くから」





大好きな彼を約一時間待っていた私にそう告げたのが前者で述べた彼、持田さん。

あの一言で私の淡い恋心がずきんと痛んだ。




「そうですか…す、すみません」




私、何で謝ってるの。

確か昨日持田さんに呼ばれたから
ただ柴犬みたいに忠実にここに来ただけなのに。



「んー、でも折角来てくれたんだし、」




そういって持田さんは私に何かを投げつけて来た。





「ひゃ…な、何ですか…?」





「それ、俺の荷物。お前持って帰ってくんない?ああ、大丈夫。必要なもんは全部持ってるし」





そういって私に意地悪そうな笑みを浮かべて





「じゃ、よろしくねー」






どこかへ行ってしまった。







「も、持田さん!」







…はあ。私、何してるんだろ。








持田さんにとって、私って何?





私にとって持田さんはただ一人の大好きな人なのに。






これじゃ只の犬じゃない。




何期待しちゃってるんだろう。




恋人らしいことできるとか、
精一杯愛されたいとか、
そんなの所詮甘すぎる夢でしかないんだ。





「(持田さん私のこと嫌いなんだ)」





じゃなかったらこんな扱いしないだろうし。


いくら持田さんだってレディーファーストくらいのスキルは持ってる、はず。






「…何勘違いしちゃってるんだろ…私…」






家に着くと急に色んな想いが込み上げて来た。




駄目、こんな思考回路じゃ…



今まで耐えてきたものが全部涙になったように子供みたいに精一杯泣いた。






そのとき一本の電話が鳴った。




相手は…持田さん。






「な、んで…こんなときに…」




でも無視なんて恐ろしいことは私にはできなかった。





「…持田…さん」




「え…何、泣いてんの?」



「あ…、ちが…」






早速持田さんにそう言われてしまってもう何だか隠すことさえどうでも良くなってしまった。





「またお前道端で転けたのか?それとも…」





「…持田さんは、私のこと嫌いですか?」








「…は?」




「嫌いなら私もう持田さんの近くに行きません。
電話もしません…だから…」










「…お前、何言ってんの?」







「…え…?」






無意識に涙が溢れ出したとき持田さんはそう言った。





「俺は好きな奴にしか話しかけたり意地悪しねえよ」






「え…?」





「今日だって…無理やりチームメイトに誘われただけで実際女とは喋んなかったし」




「持田さん…」





「っあー!!!っだからお前がそうやって持田さん持田さんって言うところがすげー可愛くて、抱きしめたくなって、苛めたくなんの!分かる?!」









持田さんが私のこと可愛いとかそんなこと言ってくれたのなんて初めてで、これから先もう聞けないかもしれないなんて思ったのはきっと今までで一番嬉しかったから、






「じゃあ持田さん…私のこと嫌いじゃないですか…?」





「嫌いな訳ねーだろ。っつーかお前泣きそうな声すんな。反則!…今すぐ会いたくなるだろ、ばーか」







「…持田さん、好きです」






私から好きなんていったのもきっと初めてで、
それも半分無意識に漏れた告白だった。







「!!…30分待ってろ。…すぐ行く」





きっとわたし、
思ってる以上に持田さんのこと好きだ。







終わらせてなんかやらないよ

(お前に会ったら真っ先に愛してると叫んでやるから)




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お題は「確かに恋だった」様より







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