「なまえは星好き?」
雄二郎の唐突な質問に少し困る
「…うーんそんな詳しくはないけど綺麗だから好き…かな?何でいきなり…」
「ほら、あそこ」
雄二郎も見ている窓の外を覗くと其処には都会特有の人工的な光が一面に広がり雄二郎の言った星は暗い空に一つ我が光らずと輝かせていた。
「星って凄いと思うんだ」
「え」
「光の早さで一億年先とかそもそも光の早さが想像出来ないし」
「そんな定義誰が作ったんだろうね。不思議」
「なのにこうして俺たちにも見えるなんて凄いよな」
「…何か今日の雄二郎変だよ」
雄二郎は星とか語っちゃうガラじゃないのに
「いや、なんつーかさ…
俺は星が見えるってのに星は俺なんかに気づいてないわけで、俺にとっては近くにいる存在なのに実際はとてもじゃないけど届かないくらい離れてるんだろ」
「…うん」
「…なまえが星だったとしたらどうすればいいんだろう、って」
その時の雄二郎の寂しそうな瞳は星何ぞ捉えていなかった。
私はそんな雄二郎に少し笑えてきてしまった。
いくら漫画に携わってるからって考えがドラマチックすぎる
でもそんな雄二郎こそ私にとってみれば星みたいにきらきらしてる存在で、希望の光だから失ってしまうなんて考えられなかった。
「…雄二郎」
「…ん?」
「…雄二郎が離れなければ私は星なんかにならないよ。だから雄二郎も星になっちゃ、嫌」
私は無意識に雄二郎のシャツの裾を握って泣きそうなくらい弱々しく呟いた。
何でだろう、考えただけで苦しくなる
雄二郎はいなくなっちゃ駄目なの
「…なまえ、結婚しようか」
「…え…?」
「俺は一生、お前の服部雄二郎でいるから」
雄二郎は私を強く抱きしめ耳元で小さくも力強い声で呟く
「…ふ」
「え」
「ふふふ、雄二郎変なの」
「なっ…何だよこんな時に!」
「…私はとっくに雄二郎のものだよ。だから…
不束者ですが、よろしくお願いします」
星のように綺麗じゃなくてもあなたのそばには居たいから
「…っあー…良かった…」
雄二郎は俯いた顔を手で覆い力が抜けたように言う。
「、断られたらどうしようかと思った」
「あはは、雄二郎かっこ良かったよ?」
「だってなまえが笑い出すから」
「だ、だって嬉しかったんだもん…雄二郎がそういう事言うなんてびっくりしちゃって」
「…本当に、そばに居てくれるのか」
「…私には一生かかっても星にはなれないよ」
あの星には私たちのことが見えないはずなのに、輝きは私達だけに向けられているように感じた。
輝く星に願いを込めて
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