「…ただいま」
「おかえり雄二郎くん!」
「はあ…今日もまた新妻くんがさ…」
雄二郎くんは最近凄く忙しい。
担当してる漫画家さんが連載決まったり、はたまたアニメ化したりで雄二郎くんはここ数日残業続きだ。 そんな日が続き疲れてるであろう雄二郎くんは私に仕事の愚痴を漏らす。
「福田くんもさあ、もう少し俺への態度を何とかして欲しいよなあ…何で俺舐められてんだろう。一応服部より上なんだけど」
「うーん…。雄二郎くん口軽いからじゃない?何でも言っちゃうから福田くんに友達みたいに思われちゃうんだよ」
私はよく雄二郎くんの先輩に会うと口が軽過ぎることを愚痴られる。
しかし先輩にも飽きられ年下の子にも舐められてる雄二郎くんだが残念なことにこればかりは治らないと思う。
何せ雄二郎くんが口軽いのは私たちが出会ったときからずっとの話。
「…俺そんなに口軽い?」
「うん」
「うわ、即答」
雄二郎くんは苦笑いする。
「だって雄二郎くん私と付き合ってるの周りには隠すとか言っときながら翌日バラしてたよね?」
私が隠してほしいとは言ってないけれど当時はお付き合いしてることは恥ずかしかったから雄二郎くんがそう言ってくれて安心したというのに翌日あろうことかクラスみんなの前で言ってのけたのだ。
あの時は本当に恥ずかしかったなあ…
口が軽い以前に約束したことをさらりと破ったことも問題だと思う。
「そ、それはお前が男にちょっかい出され過ぎだからだろ!俺だって恥ずかしかったんだからな!」
「そ、そんなの知らない!私の方が何倍も恥ずかしかったんだから!」
私がそう反論すると雄二郎くんは不機嫌そうなまま黙ってしまった。
さっきまでの慌てようが嘘のようだった。
「ゆ、雄二郎くん…?」
私が少し言いすぎちゃったかなと心配になりながら雄二郎くんに近づくと、突然腕を引っ張られされるがままにすっぽりと雄二郎くんの腕の中に収まってしまった。
「…ゆ、雄二郎くん?どうし「なまえが可愛いからだ」
俺がどれだけやきもちやいたか分かってんのかよ
雄二郎くんはいつもより低い声で私の耳元に呟いた。
「…わ、わたし…雄二郎くんのこと好きなのはずっと変わってないよ…?」
私は恐る恐る雄二郎くんを見上げる。
そこには優しい笑顔の雄二郎くんがいた。
「…あのさ、俺はきっとなまえから離れられないからさ…
これからも変わらないでいてください」
ぎゅっと今以上に強く私を抱きしめた雄二郎くんに急に高鳴り始めた自分の鼓動が伝わってないかはらはらしながらゆっくりと雄二郎くんの体温と大きな愛を身体全体で感じていた。
マリーゴールドにさよなら
(…なまえ抱きしめてると疲れなんて吹っ飛ぶんだからな?) (…そんなことで元気になってくれるなら幾らでも使っていいよ) (よし、じゃあこのまま寝よ) (えっ!…もう、今日だけだよ)
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マリーゴールドの花言葉は「嫉妬」
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