人魚姫の夢を見た。
白く、限りなく白い涙の跡すら見当たらない海のない砂浜に1人ぽつりと座りこんでいたんだ。
私はそれをただひたすら見つめていた。 そしたら人魚姫もこちらを見つめて来た。
そのときのマリンブルーの瞳は何処かに幸せを置いてきてしまったような、私に助けを求めているのか、
涙がお似合いだ。
時が過ぎているということが感じられないほど止まった空間から抜け出したのはあなたが来てから。
*
「隣にいて欲しかったんじゃねえの」
ロヴィーノの口からぽつりと聞こえた。
「1人ぼっちってかなり寂しいんだよ。」
「うん、それわかる。私もロヴィーノいないと死んじゃうもん。」
「何でだよ」
「さみしすぎ、愛なさすぎで。あ、愛はいつもないか。」
「な、なんだとこのやろー。俺はいつもなまえへの愛しかないのに」
「私もロヴィーノにしか愛はないですよー」
もしも世界が心で海が愛ならこの世界は愛で満ちてる。 私の心だって海水が溢れ出しちゃいそうなくらい。
「私はロヴィーノが隣にいてくれるだけで嬉しいよ。愛が満ちてくもん。」
「俺も。なまえの隣だけは譲れねえ。」
「えへへ」
愛がこれっぽっちもないあの子はもしかしたらだけど、私に願いごとがあったんだ。 きっと私は叶えられたはずだけど、
愛の海がほしい。
けどごめんね。 悪いけどロヴィーノの愛は私にひとりじめさせて。
人魚姫と涙の海
←
|
|