「なまえー甘いものが食べたいんだぞー。」
「んーチョコならあるけど」
「1つくれなんだぞ」
「いいよー、はいっ」
ころん、と俺の手のひらに転がってきて出会ったのは、 小さくて三角でピンクでまるでなまえのようなチョコレート。
口の中に入れると、その小ささの何倍もの甘さが広がったかと思うと溶けてなくなった。 何だか病みつきになってしまうような、そんなところもなまえに似ている気がする。
「このチョコは何ていうんだい?なまえチョコかい?」
「そんなわけないでしょー、アポロだよ」
「アポロ…かい?」
「うん!ちっちゃくてカワイイから私大好きなの!」
笑顔で話すなまえはやっぱりこのチョコに似てて可愛いなー。なんて思っていたけどやっぱりその名前は、
「俺は月を思い出すぞ!」
「あーそっかあ。そういえば同じ名前だね。
…アルフレッドは月に行ったんだよね?」
「もちろんさ!ヒーローだからね」
「いいなぁ…私も月に行きたいなあ…!」
きらきらした子供のような瞳に惑わされたのか俺はこんなことを言ってしまった。
「いつかなまえを月に連れてってあげるんだぞ!」
「えーほんとに?じゃあ新婚旅行は月で決まりだね!」
なんて。と付け加えられたけど、俺はすでに本気でいた。
いつかなまえを1人で守れるくらい一人前になれたら誰にも見つからない場所に彼女を連れ出してこの平和すぎる世界から月に飛び出そう。 そして月に大きな家を建ててなまえと一緒に住むんだ。
ずっと地球には帰らないで宇宙を旅し続けて一緒に年を取って一緒に消えていくんだ。
「なまえ、」
「ん、なあに?」
今この部屋から抜け出して月に連れ攫っていったら君は受け入れてくれるかい?
アポロ
(あの計画のように本気なんだけど)
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