「おはよ、恭平くん!」
「んー…なまえ?」
「今日はホットケーキ作ったよー」
「っまじで!」
「うん!だから起きないとー」
恭平くんは毎日毎日朝早くから頑張っている。
スポーツ選手だからただでさえ体力使うのにOFFなんて全然ないし、夜も遅いしで朝眠たそうにしている恭平くんを見てると起こしてしまうのが本当に可哀想に思えてしまう。
このまま寝ていて欲しい。 出来るならいつまでも私の隣にいて欲しい。
でも私は恭平くんのサッカーが好きだから、少しでも恭平くんの力になれたら…と思ってるけれど実際のところ力になれてるかは分からない。
「あ、そうだ。 明後日OFFになったからさ、久しぶりにどっかいかねえ?」
「え、うそ!…いいの?」
「おう!…なまえにはすげー迷惑かけてるし、俺の為に頑張ってくれてるし…
だからさ、行きたいとこ考えとけよ!」
「…うん!有難う!」
恭平くんは優しい。
本当は休みたいはずなのに。 私に気を遣わなくてもいいのに。 きっと私はそんなところに惹かれたんだなあ。
「ごちそーさま!っと、そろそろ行かないと…」
「あ…」
私だってちゃんと恭平くんに伝えなきゃ駄目じゃん!
恭平くんに少しでも元気になってもらえるように それをサッカーで発揮できるように
「き、恭平くん!」
「なまえ…?」
「あ、えっと…いつもおつかれさま!」
「…へ、」
「すっごい大変だし、疲れてるのに私に気を遣ってくれてありがとう。すっごく嬉しかったよ」
「え、ちょ、なまえ」
「そんな恭平くんと一緒にいられて私すっごく幸せだよ」
「…!」
口下手な私だけど、恭平くんの優しさちゃんと伝わってるよって伝えたいんだ。
恭平くんみたいに優しくできないけれど、 愛情表現上手くはなれないけれど、
「何にもできてないけど私…!」
「っだああー!!もう!!」
「え…?」
私が最後まで言い終わる前に、恭平くんは私を抱きしめた。
「恭平くん…?」
「っなまえ可愛すぎ!!今から行くってのにそれは無しっしょ…!」
「へ…?」
「あのさ、俺が頑張れるのはなまえがいるからなの!…こーしてるだけでその、疲れなんて吹っ飛ぶし 」
恭平くんが強く抱きしめるたびに優しさがひしひしと伝わってきた。
「…今日も、頑張って下さい」
「…うん」
「晩御飯ハンバーグにするね」
「…うん」
「明後日楽しみにしてるね」
「…あのさ、」
恭平くんが耳元で呟いた。
もう少しこのままでいさせて
(…練習遅れちゃうよ?) (なまえの方が大事だ!) (堺さんに怒られちゃうよ?) (…)
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