「あのっ、これ…!」
俺の我儘で学校帰りにそのまま俺の家に来てもらった彼女であるなまえは家に着くなり少し力の入った面持ちで俺に可愛く包装されたプレゼントを渡してきた。
「…毎年毎年ありがとう。そんな気を使わないで欲しいけどな」
「そ、そんな!長太郎だって毎年私にくれるじゃない…」
なまえは優しくて気の利く本当に素敵な女の子だと思う。 そんな彼女のプレゼントは俺にとって、今手に持っている自分でも信じられないくらいの量のチョコレートが詰まった大きな袋なんかより何百倍も愛が詰まってるように感じる。
ラッピングができるだけ崩れないようにゆっくりと開くとふわふわとした紺色のマフラーが姿を見せた。
「……気に入らなかったら言ってね?…やっぱりお店で買った方がよかったかな…」
「…なまえが編んでくれたの…?」
「あっ…う、うん…。へたくそでごめんね…。
…長太郎は人気者だから…プレゼントにも自分にもちょっと自信なくてね、本当は渡すのやめようかと思ったんだけど…」
顔を赤くしてチョコレートの袋をちらっと見つめながらぽつぽつと話す彼女に俺は頬が緩んで仕方がなかった。
今の時代 手編みのマフラーをプレゼントしてくれる可愛い彼女がいるなんてそうそういないんじゃないか。
おまけにこんな嫉妬までしてくれていたなんて告げられては色々と自分が自分でいられなくなってしまう。
高まる気持ちに平静を装いつつ、彼女の髪にそっと触れると ぴくっ、と肩を震わせた。
「…ありがとう、凄い嬉しいよ。俺のために編んでくれたってだけでもう十分なくらい。
……チョコレート受け取っちゃって、ごめん。」
「…ううん、いいんだよ。私はそんな長太郎の優しいところが好きなの。
…でも長太郎には私の気持ちが一番に伝わってたらいいな、なんて…」
そう言って此方により赤く染まった顔を向けたなまえにどうしようもなくキスしてやりたくなって、髪に触れていた手を後頭部に回しぐいっと引き寄せて強引に口付けした。
「!!…んっ…ふうっ…」
動揺したからか、いつになく早くなまえは苦しそうな表情を見せた。
一度唇を自由にし少しの間なまえを落ち着かせているうちにまたキスをしたい欲望が生まれ、再び引き寄せた。
ああ、彼女を支配していると実感できるだけでこんなにも嬉しいなんて。
気がつくとチョコレートの袋は俺の手から離れ 床に落とされ無造作に中身が散乱していた。
「はあっ……ちょう、た、ろ、…」
「……まだ、足りない」
一度外れたリミッターはそうそう収まらず本能のままにひたすらに口付けした。 舌を侵入させるとすっかりなまえは俺に身を預けてくれていた。
「…っ、長太郎!」
「…ん?」
「…お誕生日、おめでとう…!」
甘い熱だけ残して
いつの日か彼女の一生を貰える日が訪れますように、と彼女のその笑顔を見るたび願ってる
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お題は「確かに恋だった」様より
2/14 長太郎誕生日おめでとう!
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