「ぎんとき、」
「あ?」
「こんなとこにいたの」
「おー」
「…」
「何か用か?」
「いや、あんたに用はないよ」
「あ、そ」
んー、と伸びをした名前は縁側で転がる俺の隣に横たわって、きゅーけぇー、と間の抜けた声を出した。
「お前明日早いんだからさっさと寝ろよ」
「いやね、そうしたいのは山々なんだけど……人を探しててさ」
「へー」
「みんなどこ行ったんだろ?こんな夜にみんないないのおかしくない?」
「お前、誰探してんの」
ぼんやりと虚空を見つめる名前に、ほんの少し嫌な予感がした。
「山本と矢部だよ。あいつら、まぁた私との約束破った!」
「…」
嫌な予感は当たるモンだ。俺はむくりと体を起こして、名前の方も見ないまま、言う。
「死んだよ」
「え……」
「…」
驚いたような声。俺は黙ったまま。
「そ、っか。ごめん」
沈んだような声で、名前は言う。
「じ、じゃあ武本は?菊地とか須「藤も猪上も田中も斎藤も、もういねぇよ」
もう、奴らはいない。またあの頃の楽しかった時には戻れない。帰ってこない奴らを思って涙を流す名前を見て、俺はきっと名前と同じようには泣けないんだろうと思った。
「銀時……」
「あ?」
「みんな、いなくなっちゃうのかな?」
「…」
「ヒトってこんな簡単に死んでも、いいのかな」
「さーな」
「…」
「バカヤロー」
「俺も高杉も辰馬もヅラも、お前だってちゃんとここにいんだろ」
俺にならって体を起こした名前の頭に手を乗せて、がしがしと撫でてやる。痛い痛い!!とわめく声も全部無視。……ったくよォ。ここはお前には辛すぎるだろうよ。
「なんで私、まだ生きてるんだよ」
「そりゃーお前が強いからだろ」
「…私、全然強くなんてないのに」
「ばか、運の話だ」
今まで、俺は大事なモンを、てめえを守ってきた。けど、もしかしたら守ってきたつもりだっただけかもしれねぇ。運がよくてたまたま。たまたま、どちらも生きてただけ。
なぁ、それってすげー悔しいけどよ、すごくね?俺ら。
「ははっ!賭け事したら大儲けかもね!」
「帰ったら一発あてに行くか!」
なんて、な。
一生分の運を
(今、ここで)