この間リーバー班長に会って、話をして、私のことを知っていてくれた。それは私にとって一生分の幸運を使い果たして、やっと手に入るくらいの幸福で。嬉しくて何度も涙を流したし、神に心から感謝した。
そんな幸福が、またこんなすぐに訪れるなんて…!
「ごめんな、急な任務で」
「い、いえ!!気、にしないでください!」
緊張で口が渇く。ばくばくとうるさい心臓と、さっき真っ白になってしまったらしい頭のせいで、言葉が綺麗に出てこない。何を話そう。何を聞こう。何を話せばいいんだろう。
「名前って、ここんとこ任務ばっかりだよな」
「え、っと…」
「疲れてないか?」
「はい!!私、体は丈夫なので!」
確かに任務は多いけど、全然平気だ。ちょっと疲れていた気もするけど、今とてもとても元気になったから全く問題はない。
「それなら良かった」
…も、もしかしてここは、もう少し女の子らしくしておくべきだったんではないだろうか!ただでさえ馬鹿力はマイナスポイントなのに…!リーバー班長の前でもっと可愛くいるためにはどうしたらいいんだろう…。
そんなことをぐるぐる考えていたら、あっという間に司令室に着いてしまった。リーバー班長といると、時間が4倍くらい早く進んでしまうらしい。
「じゃあ、気をつけて」
「ありがとうございます!」
「いってらっしゃい」
「ぁ…いって、きます」
リーバー班長の目をここで初めて見た。綺麗な双眸が私を写していて、視線を外すことができなかった。
「報告書を持ってくるの、楽しみにしてるからな」
ぽん、と私の頭に温もりが降りて優しく撫でられた。名残惜しくもその手は離れ、彼も背中を向けて歩いていく。
リーバー班長の背中が通路の角を曲がり見えなくなった瞬間、私は糸が切れたようにその場に座り込んだのだった。