「あのリーバー班長が、私の名前を知っててくれたのよ!」

さっきからオレの部屋でぐるぐると回ってみたり、飛び跳ねてみたり、足元に転がっている新聞をすくってはぶちまけを繰り返してみたり。

「私、リーバー班長と目が合ったの!これが2回目なのよ!」

ベッドにうつ伏せになって本を読んでいたオレの背中をぽかぽか殴ったと思ったら、オレのほっぺたをつねってきたり、髪の毛をぼさぼさにさせてみたり。

「あー!はやく任務にならないかなあ…!報告書、次はいつ出しに行けるだろう…」

散々オレで遊んだ後は、うっとりとした表情をした後で何かを思い出したかのように、にへらーっと笑っていた。背中、普通に痛いさ。そろそろ力加減覚えなさい。

「次に会うときまでに、またジェリーさんにお化粧教えてもらおう!あぁ私の目があともう少し大きかったらなあ…」

今度は鏡を見ながらまぶたを思いっきり広げてみたり、鼻を高くしようとしているのか引っ張ってみたり、百面相をし始めた。

「そんなんしなくても、名前はじゅーぶん可愛いさよ、」

次のページをめくりながらオレがそう言うと、さっきまでの威勢はどこへやら。はにかむように笑って、照れ隠しを始めた。

「もうやめてよ!はずかしい!」

ばしばしと壁を叩くものだから、そこには案の定ヒビが入った。こンの馬鹿力…じじいに何て言えばいいんさね…。

「まあ、この調子で頑張るんさよ」

しおりを挟んで、読みかけの本を閉じる。ようやく寝転がった体を起こしてベッドに腰掛けると、名前はそれを待っていたかのようにオレの隣に並び、笑った。


「ラビが背中を押してくれたから、会いに行けたの。本当にありがとう」


ーーーああ、もう。

その顔をリーバーに見せてやれば、何を心配するでもなくきっと奴も微笑んでくれるのに。

「気にすんな。それに、オレはなんにもしてないさ」
「…ありがとね。こんな幸せ、生まれて初めてかもしれないわ」

報告書一つでここまで幸せになれるなら、もっと早く行けばよかったものを。…まあ、名前にしては頑張った方さね。こっからは、おにーさん下手に手伝えないから頑張るんさよ。



『よーっ、リーバー報告書』
『お疲れさん。あれ?ラビが届けに来たのか』
『そー。無理やり奪ってきたんさ』
『なんだそれ。…相変わらず名前の報告書は早くて綺麗だな』
『優秀デショ』
『ああ。そうらしいな』
『なーんか最近めかしこんじゃってさ。綺麗だし真面目だって人気なんさよ?』
『へえ…』
『でも誰かさんに惚れてるらしくて、『…なんでそれを俺に言うんだよ』


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