黒の教団は眠らない。24時間365日、起き続けていると言っても過言ではないだろう。この中にはエクソシスト、科学班、探索隊など様々な役職が置かれており、それらは各々が聖戦に勝利するため、活動している。

その中でも科学班にはほとんど休みはない。日々増え続ける膨大なデータの解析、研究、開発などで徹夜など日常茶飯事なのである。

だからこそ、彼らは自分の部屋にはほとんど帰らない。つまり、いつでも大抵研究室にいる、ということなのだが。

「…名前って、案外乙女なんさね」

まだ太陽が昇ってから幾分も経っていないような朝早く。オレの部屋に突然やって来るや否や、椅子の上に膝を抱えて座った女。しおらしい雰囲気を醸し出している今のこいつを見ていると、普段の姿なんてまったく想像できない。

「どうしよう、ラビ…」

眉をひそめて少し瞳を潤ませている名前。その表情は今にも泣き出してしまいそうで儚い。嗚呼、またその抱えた膝に顔をうずめてしまった。そんなことせず、こちらを見ていて欲しい。今は可愛い名前をじっくり観察できるチャンスなのだから。

「まー、別に今日じゃなくてもいいんじゃねー?いつ行ったっているんさ」
「……でも、5度目の正直だから」


確かにそうだな。このやりとりももう5回目さ…。

名前には想い人がいる。こいつがそいつのことを思い始めたのは…、んーと、忘れたさ。とりあえず結構昔で。でもこいつが意識しまくりで避けまくった結果、まったく話せず、認知されずってわけだ。別に普通にしてりゃー科学班とエクソシストなんて接点ありまくりだと思うんだけどなあ…。そいつに報告書出しに行くだけでこれ、だ。

「や、やっぱりラビにお願いしようかな…」
「まあ、それでもいいさー」
「で、でも…!そろそろ顔、覚えて欲しいな…」
「そうさねー」
「で、でも!でも…っ」

こいつは一体何と戦ってるんさ。とりあえずオレは、普段の馬鹿力からは想像出来ないこの可愛い姿を、じっくりと観察しておくことにするさ。


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