「リーバー班長とお近づきになるにはどうしたらいいんだろう!」

任務帰りの汽車の中で、名前は真剣な眼差しをしていた。その間も右手はせわしなく動いていて、報告書を埋めている。

そんなに提出を急がなくても平気なのに、こんなに頑張っているのはリーバー班長のためなんだろう。さっきから何度も書き直しているため、綺麗な文字だけがそこに並んでいた。

「今度、科学班フロアに行く時名前も一緒に行きましょうよ」

名案!と思って口に出したら、ぱき、と音が鳴った。驚いて音の出処を辿ると、それは名前の手元で。ペン先はどこかへ飛んで行ったし、そもそもの形も少しゆがんでしまった様に見える。

「えっ!!!!い、いいの…?」

真っ赤な顔でこちらに身を乗り出してくる名前に、思わず笑ってしまった。

「リーバー班長はね、レモンソーダが好きでいつも飲んでるわよ」
「そ、そうなんだ…!意外」

ふむふむと頷いた後、名前は新しく取り出したペンで、小さく何かを書いているようだった。その様子を見て、なんだかこちらまで照れ臭くなってくる。名前の恋が上手くいったらいいのに。

いつも任務のことしか頭になかったような子が、恋をしていたなんて。きっとみんなも応援しているに違いないわ。

「リーバー班長って、どんな女の子が好きなのかなあ…」
「そこまでは知らないわ。今度会ったら聞いてみたら?」
「む、無理無理!」

なんで恋愛の話っていうのはこんなに楽しいのかしら。

「名前は可愛いんだから、きっと大丈夫よ」

このところ名前はどんどん綺麗になってきていている。美容に関して少し前までは私の方が教える側だったのに、今では名前に教えられることも多い。

「ぜーんぜん!リナリーの方が女の子らしくて羨ましいわ」

困ったようにはにかむこの子の、どこが女の子らしくないと言うのだろうか。

この任務の前、私がリーバー班長に名前を迎えに行ってもらうようにお願いした時のことだ。気になってこっそり覗き見た二人で歩く姿のお似合いだったこと!

「名前はじゅーぶん可愛いんだから。もっと自信を持ちなさい!」

にっこり笑って見せれば、名前も同じように笑ってくれた。リーバー班長はまだ名前のことを知らないだけ。こんな素敵な子を、リーバー班長が気に入らないなんてありえないんだから!

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