「お腹空きましたね〜」
「私もです」
「ん〜、何食おうかな〜」
朝だからなのか、いつもより少しだけ反応が遅いアルヴァ。へにゃりと笑ってお腹を鳴らす姿を見て、こちらまで笑顔になる。
嗚呼、なんて可愛いんさ…!
ずっと意識が戻らなかったアルヴァを、オレは心配した。そりゃあもう心配だったさ。全然守ってやれなかったんだから。
でも今、のんきににこにこと笑うアルヴァを見ていたら、後ろめたく感じていた感情がすーっと消えていく感覚がした。心があったかくなるような感覚さ。やっぱ、惚れてるんだろうなあ。
「…アルヴァ、ジュエリーか」
「ホクロ二つもアルヴァのこと知ってるんさ?」
ぼそ、とアルヴァの名前を呟いた中央のわんちゃん。
「神の使徒を知らない者が、この教団にいるはずがないだろう」
「まあ、そうさね」
しかもアルヴァは相当可愛いからオレらなんかよりもずっと、認知されてるんだろうな。
「ほら、アルヴァ行くさよ。遅れちまう」
「あ、はい!」
アルヴァはちゃんと見ていてあげないとすぐにふらふらしちまうんさ。今もオレが声をかけなかったら絶対取り残されて、慌てるに決まってる。
やっぱりオレがちゃんと見てなきゃだめさね。
「あ、そうさアルヴァ、オレのイノセンス直し……あれ?」
………本当、ちゃんと見てなきゃすぐいなくなるな。
振り返るとそこにはもうアルヴァの姿はなかった。