「おいなんだアレは!?」
「!」


クロウリーさんの声に空を見上げると、そこではレベル3のアクマたちが集まり、巨大な形を作り出しているところだった。その姿は四肢があり、頭と思しき物体も付いている。

その巨大なアクマが、ひとつ、ふたつ。


「別にどうってことありゃせん。機械共が融合してバカでかくなりよっただけじゃ!」


私の力ではあれほど大きな敵に【滅罪ノ檻】をかけることはできない。ここは、ブックマンさんとクロウリーさんに攻撃に回ってもらう他はないが、この人数でなんとかなるだろうか。ノアの一族と一対一で戦っているラビくんの様子も気になる。彼は今、右腕を大きく負傷しているのだ。


「悪星ギーター…」
「!!来るぞっ」
「刻盤発動!!この建物の周りを停止化した時間の壁で包囲!」

「時間停止!!」

「ロットーさん!!」


発動するや否やふらふらと倒れこんでしまったロットーさんに、慌てて駆け寄る。【時間停止】は、教団で鍛練をした回数が一番少ない技だ。まだ慣れていない分負担は多いだろうし、ただでさえロットーさんはもう限界なのに、


「私はまだ大丈夫…。アルヴァちゃんにばかり、辛い思いをさせるわけにはいかない、わ…」
「…っ」
「おおっやるな女!!」
「…でもこれ長時間はダメなんです……、あのアクマを何とかしてください…」
「わかった」
「私も…!」
「ダメです」


リナリーちゃんが立ちあがろうとしたところを片手で制する。だめだ。ロットーさんに続いてリナリーちゃんまで、無理をさせられない。例えそれが私のエゴだったとしても、だ。


「アルヴァ…っ」
「リナ嬢はここに!その足で戦うのは危険じゃ」
「あのアクマは頭上から攻撃するしかないわ!私の靴じゃなきゃ…っ」
「おぬしには【ハート】の可能性がある!最後まで戦うな」
「でもブックマン!!」
「リナリーちゃん!!!!!!」
「っ」


私の声に、びくん、と体を震わせたリナリーちゃん。でも、分かってほしい。強制解放で負うダメージは、アクマとの戦いで負うダメージよりもずっと大きいということを。今だってろくに力が入っていないはずだ。【ハート】である可能性だけで戦うなって言っているんじゃない。それを、分かってほしい。


「オイラが奴の脳天まで運んでやるっちょ!」
「ちょめ助くん!」
「!」
「イクッちょ!しっかり掴まってろ!!」


クロウリーさんとブックマンさんを乗せたアクマが、巨大なアクマの元へと昇っていく。その途中にも、攻撃をいくつも受けてボロボロになっていく体。二人がそこからさらに飛び上がって、巨大なアクマの目の前にたどり着いた時にはもう、彼女はぱらぱらと地に落ちるだけだった。





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