俺の前で涙を流すアルヴァを見て、俺は心底安心した。帰ってきたばかりのアルヴァは、凛々しくて逞しくて強い眼差しを持ってる。
でも、そうじゃないだろう?
俺の腕の中で意識を手放したアルヴァを抱きかかえ、その緩み切った顔を見て更に心から安堵した。
「あーあ。もう寝ちゃったんさ?」
覗き込むように聞こえたのは、ラビの声だ。
「アルヴァ、オレらには絶対弱味を見せてくれないんよ」
「ずーっと神経尖らせて、ずーっと強張った顔してさ」
眉を下げて、まるで自虐をするようにラビは笑った。すぐにいつもの飄々として顔に戻ったけれど、
「こんな幸せそうなアルヴァの顔、ひっさびさに見たさ」
俺はなんとなく、その表情の意味が分かった気がして。
「ありがとうな、ラビ」
少し驚いた顔をするラビと、互いに笑いあったのだった。