一番に飛び出してきたのは、リナリーだった。長く綺麗だった髪の毛は、肩にかからないくらいに短くなってしまっていて、驚いた。瞳に涙を浮かべて、それでも必死に笑みを作ろうと顔を歪に歪めていて。
「にいさん…」
全力で走り出して、室長の胸に飛びついた。それをしっかりと抱きとめてやる室長の背中は、安堵感が滲みでている。
「たっだいまー!」
次にはアレン、ラビ、ブックマンとぞろぞろと少し懐かしいような顔がたくさん現れた。それに皆が心の底から安堵する。さすがに神田に担がれたクロウリーが出てきた時には、医療班が慌てて飛び出して行ったけれど。
ああそれから、本当に懐かしい顔も見ることができた。
「「「く、クロス元帥!!!」」」
「ちょっ…待ってください!元帥!!」
俺たちが驚いている間に、すたすたとどこかへ歩いて行ってしまったけれど、中央からたまたま来ていた班員が慌てて後を追いかけて行ったらしい。あの人がここに戻るのは、何年ぶりだろうか、ええと、
指を折って数えていると、こつん。と聞き慣れた音が鳴った気がした。誘われるようにふ、と視線を少しあげると、よく見たことのある靴が目に入る。ああそうだ、この音だ。それにしても、随分ボロボロになったな。団服も髪の毛も顔だって、ボロボロだ。
でも、足も手もちゃんと動くんだな。愛らしい瞳も、耳も口も鼻もちゃんとそのままだな。
嗚呼、良かった。
「リーバー…!」
ちゃんと、変わらない笑顔で帰って来たんだな
「ただいま…!」