ほとんど扉をぶち破るようにして部屋に飛び込んだ私たちが見たのは、リナリーちゃんの頬に手を当てるクロス元帥の姿だった。


「犯罪です師匠!!」
「遅かったかーーーーっ!!」
「ちっ、違うのアレンくん今のは…」
「なんだ馬鹿弟子。16なら立派な女だろうが」
「もう、元帥!」


リナリーちゃんの元気な姿をを見て安心した。まだ少し、短くなってしまった髪には慣れないけれどその笑顔はそのままだ。


「、クロウリーさん…」


アレンくんにお礼を言って下ろしてもらい、クロウリーさんの元へ駆け寄った。ぐったりとして眠る彼の体には、いくつもの傷が付いていて目を背けたくなるほどだった。

少し体温の低い頬を撫でていると、何か強烈な視線を感じて顔を上げる。すると、身を乗り出してこちらを見つめるクロス元帥とばっちり目が合った。


「…あ」
「…」
「ご挨拶が遅れて申し訳ありま「お前、名は」
「…え、とアルヴァ・ジュエリーと申し「年は17か」
「は、はい…」


ひとしきり質問をし終えると、元帥は少し目を細めて再び私を凝視し始めた。始めはきちんと私も元帥の目を見ていたけれど、段々恥ずかしくなって逃げるように目を逸らしてしまった。それにしても、どうして私の歳を知っていたのだろう。


「綺麗になったな」
「え…?」
「ま、覚えてなくても無理はねえか」


以前から私を知っているかのような口ぶりに、動揺する。私が教団へ来た時にはクロス元帥は既にそこにはいなかったし、こんな目立つ赤髪をした男の人なんて見たことがない。


「師匠…、アルヴァと会ったことがあるんですか?」




「会ったも何も、アルヴァは俺の子だ」




「…」

「…」


「え……」
「「「ええぇええ!!!?!?」」」


「ちょ、まじ本気さ!?」
「嘘だ!嘘って言ってください師匠!!!!!」
「本当だ」
「うわあああ「じ、冗談はよしてください!元帥!」


私がそう言うと、元帥は至極おかしそうにげらげらと笑っていた。真相が見えてきたのか、頭を抱えて叫んでいたアレンくんは鋭い眼差しで今にも元帥に飛びかからん勢いだ。


「私の父は、クロス元帥ではありませんよ!」

「一目で分かったぞ。お前はあの馬鹿によく似てる」


ひとしきり笑った後にそう言った元帥は、余裕たっぷりの笑みを浮かべてアレンくんを一蹴していた。


「び、びっくりしたわ…」
「じゃあアルヴァの父親って結局何者なんさ…?」
「父は中央庁で科学者をしています」


私が生まれる前から、教団には色々と力を貸していたらしいが、私がものを話し始めたあたりで中央庁の科学者になったと聞いている。

しかし、私が教団へ入団する時に大喧嘩をしたっきり父とは会っていない。父は最後まで、私を科学者としては認めてくれなかった。


「へえー。オレ、アルヴァの親の話初めて聞いたかも」
「もう知っているものかと思っていましたよ」


たまに本部へ来ているのも見かけるし、コムイ室長ともよく話し込んでいるようだ。気を使ってくれているのか、室長は私に父の話はしたがらないけれど。


「昔のよしみだ。娘一人貰っても奴は何も言わんだろ」
「師匠!」
「か、からかうのはやめてください、クロス元帥…」
「いや、本気だ」


近づいてきた元帥の指が、私の顎を捕まえる。必死に逸らしていた視線も捉えられて、そのまっすぐな眼差しから逃げられない。


「、わ」
「容姿は奴と似ても似つかんな。いい女だ」
「…え、そ、そんなこ…と」


すっかりのぼせてしまった頭を必死に誤魔化そうとしていたら、急にぐん、と肩を引かれて後ろへ倒れ込んだ。


「「やめろぉーーーっ!!」」
「ブった斬る!!!」

「落ち着け馬鹿弟子」
「ふざけないでください師匠!!つぅか早くここから出せぇええぇえ!!」




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