「お、アルヴァも来たさ」
「遅えよ」
アレンくんにおぶられて、少し開けたところへ行くとそこにはラビくんとチャオジーさん、それからティムキャンピーと、相変わらず仏頂面をたたえた神田さんがいた。
「かんだ…さ…」
最後に彼の声を聞いたのは、随分昔なような気分だ。一度止まったはずの涙が、再びほろりほろりと流れ出す。
「なっ…!」
「あーあ。ユウがアルヴァ泣かしたさ」
「こいつが勝手に泣いたんだろうが!しらねえよ」
「よ、よがったーー!!!!」
「アルヴァさん!元気出してくださいっス!」
「ほらほらアルヴァ、泣き止んでください」
アレンくんが体を揺らして私を慰めてくれている。それがなんだか赤子にするそれのようで、少しだけ恥ずかしかった。でも今は、こうしてみんなが揃って笑っていられることが何より嬉しくて。
「あれ…クロウリーさんとリナリーちゃんは…?」
「…クロウリーはまだ目が覚めていません」
きっと、それだけ酷い戦いがあったのだろう。先へ進んだ私たちには知る由もないけれど、クロウリーさんもみんなで帰るために…きっと。
「でも、今はリナリーと師匠が看てくれていますよ。ふたりで」
「「「!!!!」」」
「ふたりで?」
「女ったらしとリナリーが…」
「…ふたりで?」
神田さん、ラビくん、アレンくんの肩がびくん、と震えた。何やら焦ったような表情を浮かべているが、私にはよくわからない。それはチャオジーさんも同じようで、私たち二人はきょとんと目を丸めていた。
「…一体どうし「アルヴァ!しっかり捕まっててくださいねっ!」
「え…っ、うわ!!」
突然走り出したアレンくんに、振り落とされそうになって必死にしがみつく。横を見ると、ラビくんがものすごい形相で走っていた。それは神田さんも同じ。
「み、皆さんどうしたんですか!?」
「ああもう…なんで気がつかなかったんだろう!!」
「うおおおおおおリナリー!!!」
「遅えぞモヤシ!!」
「アレンですっ!!!」
激しく揺れる背中の乗り心地は、正直最悪。でも忘れてしまったと思っていた笑顔も、自然に溢れてくる。もう、アクマもいなければノアもいない。誰一人欠けることなく、ここにいる。その事実で胸がいっぱいだった。