辺りを見てくる、と言って歩いて行った二人を見送って私はぽつん。と座っていた。

最初こそ、もしかしたらあそこの物陰にまた新たなノアが隠れているんじゃないかとか、突然また崩壊が始まってしまうんじゃないかとか、色々と考えていたのだが、辺りの静かな景色を眺めているうちに、興奮していた頭もどんどん落ち着いてきた。

ゆっくりと深呼吸をして、肩の力を抜く。そのうち座っていることすら億劫になって、体をごろん、と横たわらせた。


「無理…しすぎたかな」


強すぎる疲労感と、ずっと張り詰められていた緊張。それらが体の中で未だぐるぐると渦巻いて、私は意識を手放そうにも手放せず、立ち上がろうにも立ち上がれずの状況だった。

適当に投げ出された腕が目に入る。それが纏う団服は、所々が破け、すっかり乾いてしまった血液がこびりついていた。…こんな姿の私を見たら、リーバーは泣くかな。かなしいかおは…して、……ほしくない…、のに



「…」
「アルヴァ、」
「…」
「寝ちゃいましたか?」

「…アレン…くん?」




私の顔を覗き込むのは、眩しいくらい晴れやかな笑顔。



その顔を見ただけで、すぐに分かった。嗚呼、きっと終わったんだ。アレンくんが、全て終わらせてくれたんだ。




「リナリーもクロウリーも神田も、みんな無事ですよ」




悲しみの雫はもう落ちなかった。この胸の奥から込み上げる思いを、抑えることが出来ない。やがてその思いは喜びに変わり雫となって、とめどなく溢れ出す。





「みんなで帰りましょう」





笑顔でただいまを、





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